長崎市の原爆資料館の展示更新を巡り、市民団体「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」は17日、外国人来館者に実施したアンケートの結果を市に提出した。「原爆投下に至る歴史(日中戦争と太平洋戦争)の展示は維持すべきだと思うか」との問いに、回答者の9割が「維持すべきだ」と答えた。同会は「意見を受け止め、展示更新に反映させてほしい」と市に求めた。【尾形有菜】
アンケートは6月4~10日、原爆資料館の玄関前で実施。英、中、韓、日本の4カ国語のアンケート用紙を1295人に配り、10~70代の134人から回答があった。国・地域別は、欧州29人▽中国23人▽米国21人――などだった。
回答者のうち126人が「原爆投下に至る歴史の展示は維持すべきだ」と回答。理由(複数回答可)は「日本のアジア侵略や植民地支配によって中国・欧米と戦争になり、その結果、原爆が投下されたから」が91人、「原爆の被害を強調するだけでは、世界の理解と共感を得られないから」が80人だった。
「維持しなくてよい」は1人で、理由(同)としては「米国による原爆投下の重大性を免罪、または弱めることにつながると思うから」「原爆との直接の関係はないと思うから」を挙げた。
「維持すべきか分からない」と答えたのは7人だった。
また、「展示を見て、核兵器廃絶をすべきだと感じたか」との問いに、「廃絶すべきだと感じた」は122人、「廃絶すべきだとは感じない」は12人だった。
「印象に残った展示」(複数回答可)は多い順に、「原爆による人やまちへの被害」112人▽「放射線の人体への影響」84人▽「被爆者の訴え(証言ビデオなど)」53人▽「原爆投下に至る歴史(日中戦争と太平洋戦争)」40人――など。
同会共同代表で被爆者の川野浩一さん(84)は「加害の立場からも被害の立場からも、展示を充実させ、より多くの人に見てもらう必要がある。アンケートを踏まえ、市は原爆資料館をどう生まれ変わらせるかを考えてほしい」と語った。同会は19~23日にもアンケートを追加実施する。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。