小泉八雲と妻セツの写真の横で喜ぶ、ひ孫の小泉凡さん=松江市奥谷町の小泉八雲記念館で、村瀬達男撮影

 2025年秋から放送されるNHKの連続テレビ小説は、松江ゆかりの明治時代の作家、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻セツ(1868~1932年)をモデルにした「ばけばけ」に決まった。24年は八雲の没後120年と小泉八雲記念館(松江市奥谷町)の開館90年に当たり、節目の年の吉報に関係者から喜びの声が上がっている。【村瀬達男】

 NHKによると、原作はなく、オリジナルの脚本。明治初期、物語が好きな松江藩の没落士族の娘が、世界を転々とする外国人の英語教師と出会い、夫妻で名もなき人々の物語(伝承)に光を当て、語り継ぐストーリー。ドラマの舞台は、ヒロインの故郷・島根から熊本など各地に移るという。ヒロイン「松野トキ」などの配役は今後、オーディションで決め、撮影開始は25年春を予定している。

 セツは松江藩士の次女として生まれ、英語教師として松江に招かれた八雲と出会った。日本の伝承を八雲に聞かせるうち、2人は心が通じ合い、国際結婚した。特に今年で出版120年となる代表作「怪談」への貢献は大きいとされる。

小泉八雲(ラフカディオハーン)と妻セツ

 同館館長で、八雲夫妻のひ孫の小泉凡(ぼん)さん(62)は「ちょうど今月27日に当館で開幕する『小泉セツ~ラフカディオ・ハーンの妻として生きて』の準備中なので、数日前にNHKから朝ドラの話を聞いた時は驚いた」と喜ぶ。凡さんは八雲やセツに会ったことはないが、「私の父によると、幼い頃、遊びに行くと、セツが内緒でおもちゃをくれたそう」と目を細める。

 ドラマの見どころについて、凡さんは「セツは外国人にも心を開いて交流した『オープン・マインド』な人。多くの苦労を乗り越えて、前向きに生きたセツの姿を知ってほしい」などと語った。

 セツの古里・松江市は、これまでNHKに八雲とセツのドラマ化を要望してきたといい、上定(うえさだ)昭仁市長は記者団に「松江の魅力を世界に広める機会になれば」と歓迎した。

 島根県を舞台にした朝ドラは、双子の姉妹が主人公の「だんだん」(08年度)と、漫画家、水木しげるさんの妻をモデルにした「ゲゲゲの女房」(10年度)に続いて3作目となる。

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