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元自民党の衆議院議員で、落選後、埼玉県で弁護士事務所を開いた今野智博容疑者(48)が、弁護士名義を貸した疑いで逮捕されました。ターゲットは詐欺の被害者でした。

■詐欺被害回復うたい着手金を…

2016年の衆院内閣委。質問しているのは当時、自民党議員だった今野智博容疑者です。

2016年当時衆院議員(自民党)今野智博容疑者
「残念ながら昨今は、我が国の治安においても特殊詐欺ですとか、新たな詐欺の形態が次々と現れてきているというのが現状ではないかと思っております。なかなか減らないこの特殊詐欺の被害を撲滅するために、今後警察における対策・取り組みについてお聞かせください」

特殊詐欺の撲滅について質問していました。しかし、この8年後の12日、弁護士法違反で逮捕されてしまいます。それも特殊詐欺とは無関係ではない事案によってです。

今回逮捕されたのは今野容疑者と、職業不詳の須藤博容疑者(51)、松尾勝輝容疑者(31)。その他に20〜50代の男女8人。合わせて11人が逮捕されました。弁護士資格を持たないのに5人からの法律相談を受け、着手金280万円を不正に受け取った弁護士法違反の疑いです。弁護士資格のない人間に法律業務をさせてはならないし、また資格がないのに法律業務を行ってもいけません。

事件の構図はこうです。今野弁護士は事務所のホームページに「詐欺被害の返金は弁護士にお任せください。無料相談実施中」などと書き込んで、特殊詐欺などの被害者を集めました。被害者たちがフリーダイヤルに電話すると、東京都内のアジトで電話を受けた容疑者たちが事務所のスタッフを名乗り「警察では全てを取り戻せない。弁護士なら取り戻せる可能性は十分ある」という趣旨の説明をし、数十万〜数百万円の着手金を求めていたというものです。

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■議員落選後に地元で事務所を

■議員落選後に地元で事務所を

詐欺被害者たちへの説明には、今野容疑者が元国会議員という肩書が悪用されるこもあったといいます。議員時代は清和会に所属し、法務委員などを務めました。

今野智博容疑者(2012年)
「私自身は深谷市の生まれで現在37歳。7年間ほど弁護士をしておりました。私はなんとか政治の力で、若い世代が地元の地域に根ざして働いていける環境を整備したい」

ただ、3回目の当選はならず、落選後は地元で弁護士事務所を開いていました。

今野法律事務所スタッフ
「(Q.事務所は営業中か)営業中ではない。弁護士がいないので、私は電話対応しているだけ。(Q.トラブルは)特にない。仕事内容の共有もまったくない。裁判所からの電話を伝言し、依頼者からの連絡を伝えるだけ」

地元での評判は悪いものではありません。

深谷市民
「信用がある人で、何か困ったことがあれば相談できるし、何かあったら紹介してもらえる」

今野容疑者と10人の男女は、去年9月〜今年3月までに約900人から約5億円の着手金を手に入れたとされています。取り分は今野容疑者が1割、残り9割を10人で分けていたといいます。

今回の事件、別の特殊詐欺事件の捜査をしている時に浮上してきました。ただ、彼らがどういうふうに知り合い、誰や何がきっかけとなって着手金を集め始めたのか、具体的な中身は分かっていません。

埼玉弁護士会は、去年10月から今野容疑者に対する苦情が来始めたと説明しています。投資詐欺やロマンス詐欺に関する内容だったといいます。

埼玉弁護士会 大塚信雄会長
「(今野容疑者への)苦情処理件数は、去年10月〜今年6月に合計24件。通常の数に比べてはるかに多い。今野容疑者には何らかの問題があるのではと注意を払っていた」

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■「新たな“詐欺”のようなもの」

■「新たな“詐欺”のようなもの」

特殊詐欺被害における弁護士による二次被害の問題に詳しい、小早川真行弁護士に聞きました。

小早川真行弁護士
「悪徳な業者の誘いに一部の弁護士が乗っかり“名義貸し”するケースは増えている。特殊詐欺は被害額が大きいので、着手金が数十万〜数百万円と高額でも支払ってしまうことが多く狙われやすい。特殊詐欺の被害金の回収は事実上不可能な場合も多く、実質的には新たな“詐欺”のようなもので注意が必要」

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