高級感ある化粧箱に詰められた「ざびえる」=大分市大分流通業務団地3で2024年5月30日午前11時7分、山口泰輝撮影

 バター風味が効いたクッキー生地で白あんを包んだ和洋折衷の味わい。日本にキリスト教を伝えた宣教師の名を冠した菓子「ざびえる」は、往年のファンに支えられ、大分の土産物として人気だ。

 大分市内の工場を訪ねると、コロッとした形の「ざびえる」が行進するかのようにベルトコンベヤーを流れていた。焼き上げ作業が進む一室は香ばしい香り。2023年度は約1100万個を出荷した。

 発売は1962年。戦国大名の大友宗麟により豊後府内に花開いた南蛮文化や、宗麟の招きでキリスト教を広めたフランシスコ・ザビエルの功績をたたえようと、地元の菓子メーカー「長久堂」が考案したものだった。

ざびえる本舗の冨部昌彦専務=大分市大分流通業務団地3で2024年5月30日午前11時8分、山口泰輝撮影

 しかし、長久堂は業績悪化で00年10月に倒産。商品も姿を消した。そんな中、かつての顧客や取引先から「ざびえるを残してほしい」と声が上がった。元社員の有志7人で倒産の約3カ月後、新会社「ざびえる本舗」を設立。01年4月、商品が店頭に復活した。

 白あんには寒天が入っていて、食べ応えある食感を生み出している。レシピは誕生から60年以上たった今もほぼ変わらない。トースターで数分焼くと皮がサクサクになり、できたての風味に近づくという。

 化粧箱は聖書を模した黒色でビロードのような手触り。受け取った人が「なんだこれは」と驚く高級感を演出している。

 同社の冨部昌彦専務(50)は「長久堂の時代から続く歴史と思いを今後もつないでいかなければならない」と話した。【山口泰輝】

ざびえる本舗

 大分市大分流通業務団地3の2の3。「ざびえる」は白あんにラム酒漬けの刻みレーズンが入った「金」と、白あんの「銀」の2種類。6個入り745円、12個入り1242円など。大分県内の百貨店、JR博多駅や小倉駅の土産物店などで販売。ざびえる本舗(0120・135・363)。

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