東京都内の大手スーパーのエスカレーターで80代の女性が首を挟まれ、死亡する事故が起きました。毎日、多くの買い物客が訪れる場所で、いったい何が起きたのでしょうか。
■“手押し車”乗せた80代女性
事故は西東京市にあるスーパー『オーケー東伏見店』の下りエスカレーターで起こりました。
通報(午前10時24分)
「エスカレーターの降り口で人が挟まれている」
店内に居合わせた人は…。
目撃者
「10人以上の救急救命士が救命の作業をされていて、何事かと。ブルーシートのようなもので警察の人が覆っていた。ちょっとただ事ではないと。そばに高齢の男性がいて、警察官と話をしていて『巻き込まれた』という言葉が聞こえた」
女性は、地下1階の食料品売り場へと降りるエスレーターに手押し車とともに乗ります。その後、到着時に転倒。床と手すりに首が挟まれました。女性は、搬送先の病院で亡くなりました。
エスカレーターの製造会社『フジテック』によると、点検は毎月していて、直近の点検でも異常はなかったといいます。
エスカレーターでの事故といえば、今から約15年前、樹脂製のサンダルが巻きこまれる事故が多発。エスカレーターの乗り方について注意が呼び掛けられました。
ただ、今回のように手すりのベルトで命を落とす事故はまれなケースです。ここ数年では、今年3月、茨城県のJR水戸駅で起きた事故。男性が着ていた服が手すりに巻きこまれました。
しかし、今回の事故で、女性の服は巻きこまれていなかったといいます。では、どのような可能性が考えられるのでしょうか。エスカレーターの保守管理などを手掛ける会社は…。
京都エレベータ 田中陽一社長
「ハンドレール(手すり)をつかんだ状態で転倒して、ハンドレールは動いているので(体が)引っ張られて、床面とハンドレールの間に何らかの過程で首が挟まった。転倒する人間の動作でとっさに手すりを離すのは考えられない。(エスカレーターは)下に動いている。引っ張られる方向に動いたのでは」
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■“利便性良い入り口”利用客多数■“利便性良い入り口”利用客多数
事故が起きた店には、他に入り口が2カ所あります。ただ、利用客にとっては、バス停に近い現場付近の入り口が最も利用しやすいといいます。
利用客
「(地下に)下がって初めて食品売り場でしょう。(Q.下にも入り口はあるが)知らない。利用したことがない。バスを降りたらここから(入る)」
目撃者
「今回のようにカート(手押し車)で買い物をする人も多いが、エレベーターになぜ行かなかったのか」
周辺で話を聞くと、エスカレーター以外の入り口を知らない人も…。
利用客
「(Q.地下に降りる時はエスカレーターか)エスカレーター以外ない。地下に降りる時は、このエスカレーターしか知らない。階段はこういう手押し車ではとんでもないでしょう」
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■“転倒事故”半分以上…原因は?■“転倒事故”半分以上…原因は?
日本エレベーター協会の調査結果を見てみると、2018年1月〜2019年12月の2年間で、エスカレーターの事故は1550件となっています。
事故には『転倒』や『挟まれ』などありますが、なかでも『転倒』が特に多くなっています。
年代別に見ると、事故に遭った人の半数近くが60歳以上となっています。
60歳以上の事故原因は主に2つです。
(1)乗り方不良
ステップの上で歩行したり、手すりにつかまらない。
(2)キャリーバッグ・高齢者用歩行補助器の使用
キャリーバッグを乗せる際などに、体勢を崩して転倒する事例が多くなっている。
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■高齢者の“転倒事故”防ぐには■高齢者の“転倒事故”防ぐには
エスカレーター事故に遭わないためには、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
理学療法士で、日常生活での高齢者の転倒防止などを研究する、高知リハビリテーション専門職大学・田頭勝之教授に聞きました。
田頭勝之教授
「高齢者の事故は、体力やバランス感覚などの“過信”が事故につながる」
田頭教授によりますと、気を付けたいのは『乗る時』と『降りる時』です。
『乗る時』は、エスカレーターの一般的なスピードであっても、高齢者はタイミングやバランスが取りづらく、黄色線の枠線内に入れないケースもあるといいます。
特に注意が必要なのは『降りる時』」で、動いた状態から止まった地面に着地するため、足に負荷がかかり、ひざが折れて転倒する可能性があるということです。
対策としては「手すりをしっかりつかむこと」「荷物を持ってエスカレーターに乗るのはできるだけ控える」こと。こうすることで、転倒防止になり、降りる時の足への負荷も減るということです。
そして、田頭教授が強く話していたのは、「少しでも不安を感じたら、エスカレーターではなくエレベーターに乗ってほしい」ということでした。
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