山のように積み上げられた土砂。すぐ脇には畑がある=多古町で2024年6月11日午後0時40分、近森歌音撮影
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 千葉県多古町の土地に高さ30メートルを超える土砂を無許可で運び込んだとして、県警生活経済課は12日、茨城県神栖市の残土運搬・処理会社「共進」取締役、伊藤昭一容疑者(67)=同市波崎=を同町残土条例違反容疑で逮捕した。容疑を否認している。

 逮捕容疑は2023年11月17日~24年1月11日、同町南玉造の300平方メートル以上の土地に、他の場所で採取して搬入した土砂などを、町長の許可を受けることなく、盛り土したり埋め立てたりしたとしている。土地は伊藤容疑者と関係会社が所有しているという。

 同課によると、23年9月に町から「無許可で土砂を堆積(たいせき)している業者を取り締まってほしい」と相談を受けた。盛り土の高さは最大約33メートル、運び込まれた土砂は標準的な25メートルプール300杯以上に相当する約19万3500立方メートルに上るとみられる。

 盛り土は20年に、町が住民の苦情を受けて立ち入り検査を行った際に確認。伊藤容疑者に対し、これまで勧告を含め8回、土砂の搬入停止や撤去などを文書で指導した。これに対し、伊藤容疑者は盛り土の土砂は販売目的の一時的なもので、届け出の適用除外であると主張し、町が証明資料の提出を求めても従わなかったという。

 盛り土の近くに畑を持つ男性(50)は「5年ほど前から盛り土ができ、だんだん高くなった。砂ぼこりもあり、景観も悪い。山は崩れ始めていて、畑に30センチ以上ある石が入ってきたこともある」と話し、別の男性(31)は「過去にも、町内で盛り土が崩落しているので、近くにあると怖い」と不安を口にした。

 町の担当者は「崩落の危険性も否めない。指導に従わず、土の量からも悪質と判断した」と話した。【近森歌音、林帆南】

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