原子力規制委員会=東京都港区で、土谷純一撮影

 原子力規制委員会は12日、核燃料の検査や開発を担う「日本核燃料開発」(茨城県)が、長期間にわたり、未点検の設備を点検したかのように偽って記録していたと発表した。同様の事案は2021年にも見つかっており、規制委は、社内の是正措置が不十分だったことで意図的な不正行為が続いていたと判断。前回よりも深刻な事案と評価した。

 規制委によると、09~22年度、核燃料の廃液を入れるタンクや核燃料貯蔵施設の扉など、施設の安全や核物質防護に関わる点検の計5項目で、未点検のものを点検済みと不正に記録していた。

 同社では21年にも、一部の火災報知機の点検で約20年にわたり同様の不正な記録が行われていたことが発覚していた。この点検を担当していたのは今回の事案と同じ社員だったという。

 規制委は、この社員の業務量が多いなど職場環境の課題を上司らが認識していたのに、事案が発覚した後も適切な対策を取らなかったと指摘。検査における深刻度(4段階)を前回より1段階引き上げ、下から2番目の「3」と評価した。一方で、未点検の設備に異常はなかったことから、安全上の問題はないとした。【高橋由衣】

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