2025年大阪・関西万博に参加するヨルダンで、日本留学経験者らがパビリオンの準備を進めている。ヨルダンは、前回のドバイ万博(20年)で自国の歴史などを誤って解説したことから批判を浴び、今回は参加をためらっていたが、日本を知る人たちが「友好を深める機会になる」と政府に参加を働きかけたという。関係者は「メディアで見る中東は危ないイメージだが、違う中東があると知ってほしい」と願っている。
ヨルダンでパビリオンの準備を進めているのは、早稲田大博士課程に在籍するジョブラーン・アフマドさん(29)と元駐日大使夫人のシファ・ズグールさん(54)ら。いずれも建築の専門家で、ヨルダン日本友好協会の創立メンバーだ。
2人によると、ドバイ万博では説明役がパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の都市ラマラをヨルダンだと解説するなど、誤った情報を発信したことがソーシャルメディア(SNS)で広まり、国内で批判を呼んだ。そのため、政府は大阪・関西万博への参加に意欲的ではなかったが、日本の知人から参加の呼びかけを受けたズグールさんらが、政府に展示内容を提案。昨年3月にパビリオンを出すことを決めた。
パビリオンでは、砂漠から始まったヨルダンの歴史を紹介。中央に砂漠の砂で作った空間を作り、スクリーンで自国の未来像まで描く。2階には「死海スパ」を設置し、マッサージなどを受けられるようにする。壁には日本の木材を使い、日本との友好も表現する。
館長を務めるアフマドさんは「ヨルダンはさまざまな文明や民族、文化が同時に生きてきた国。10分(の映像)で1万年以上の歴史を伝えたい」。約20年間日本に住んだ経験を持つズグールさんは「ヨルダンと日本は『おもてなしの文化』など似ている部分も多い。たくさんの若者に来てほしい」と意気込んでいる。【アンマンで金子淳】
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