1人の女性が産む子どもの数を示す、合計特殊出生率は去年「1.20」と過去最低を更新しました。少子化を食い止めるために何が必要なのか、子育ての現場を取材しました。

■止まらない少子化…子育て現場は

子ども1人の人(39)
「物価と給料の関係で、子どもにまわすお金が減ってきている感じがする」

 こちらのパパは、最近3人目が産まれたばかりだそうです。

子ども3人の人(43)
「(Q.さらにもう1人とかは?)さすがに住宅が無理だろうなと思って。子ども部屋を用意しようとするとすごい額がかかって、3人で、3部屋で4LDK、いくらですかね」

 厚生労働省によりますと、去年の出生数はおよそ73万人で、8年連続で過去最少を更新しています。また、1人の女性が生涯に産む子どもの人数を示す合計特殊出生率は過去最低の「1.20」。都道府県別では東京都の「0.99」が最低でした。人口を維持するためには少なくとも「2.07」が必要とされます。

 政府は危機感を募らせています。

武見厚生労働大臣
「若年人口が急激に減少する2030年代、これに入るまでに、これからのおそらく6年間がラストチャンスじゃないかなと」

 5日の国会で、改正子ども・子育て支援法が成立しました。改正法では児童手当の対象を18歳まで広げたり、働いていなくても子どもを保育園などに預けられたり、また、育児休業給付の拡充などが盛り込まれています。

子どもが2歳の人(42)
「困っている家庭とかにいっぱいお金配ってくれたらうれしい」

妻が妊娠中の人(35)
「子どもの制度がそんなに急に充実、ここ数年でするのも難しいんじゃないかなと思う部分もあるので。最後は頑張って自分たちの仕事の量を増やして補填するしかないかな」

 そんななか、独自の取り組みで高い出生率を実現した町があります。岡山県奈義町。例えば、「チャイルドホーム」では町民同士が協力し合っています。

30代の人
「(常勤で)保育士とママさんが当番制で保育をしていて、地域参加型の自主保育になっている」

 また、経済面でもサポートがあります。子ども園に預けずに、自宅で育児をする人には一人あたり、月額1万5000円を支給。他にも出産祝い金10万円や医療費無料などがあります。

 こうした町の取り組みにより、出生率は一時、「2.95」まで到達。去年の全国の「1.20」の倍以上です。

 そもそも、少子化の原因はどこにあるのでしょうか。

中央大学 家族社会学 山田昌弘教授
「今はかなりの人が正社員になれない時代になっている。経済的に不安。『このまま勤め続けられるか』というリスクも考えなくてはいけない。そういうことで、結婚や出産を先延ばしにする若者が増えている」

 では、どうすればいいのでしょうか。

中央大学 家族社会学 山田昌弘教授
「大学や専門学校で借りた時の奨学金の返済で苦しんで、『とても結婚どころじゃない』という人は結構いる。せめて奨学金の減免、高等教育の無償化への道筋、そういうものがない限り、大きな効果は期待できないと思う」

 また、フリーランスや自営業の人への育児支援など、相当思い切った対策が必要だとしています。

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