【東京】木原稔防衛相は7日午前の記者会見で、陸上自衛隊幹部候補生学校(福岡県)が沖縄戦について「日本軍が長期にわたり善戦敢闘し得た」との表現を書籍から引用し、幹部候補生の教育要領に記載していたことを巡り「戦術の態様を表現したもので、これだけをもって沖縄戦を評価したものではない」との見解を示した。
木原氏は「先の大戦末期、県民を巻き込んだ凄惨(せいさん)な地上戦で多くの住民が犠牲になった」と強調。その上で「特に国土戦の実態を深刻に認識させる」ため、幹部候補生は嘉数高地(宜野湾市)、ひめゆりの塔(糸満市)、平和祈念資料館(同市)でも現地教育を実施したと説明した。
「沖縄の人々の筆舌に尽くしがたい困難、癒えることのない深い悲しみを胸に刻み、戦争の惨禍を繰り返してはならないと考える」とも述べた。
一方、今後の引用の在り方に関しては「いろいろな角度での表現や言葉がある。その全てを教育するのは難しく、ある程度選抜する必要がある」とした上で「どのような引用をしていくかは、個別の教育課程の内容にもよるため、適切に判断していく」と述べるにとどめた。
元自衛官などの研究者でつくる軍事問題研究会が、防衛省に公文書を開示請求。2017年に陸自が一般幹部候補生に対して県内で行った「沖縄戦史現地教育」の実施計画が公開され、「日本軍が長期にわたり善戦敢闘し得た要因」との記述があった。
陸上幕僚監部によると、「善戦敢闘」の表現は「戦史叢書沖縄方面陸軍作戦」(防衛庁防衛研修所戦史部著)が引用元。
同書は1968年に発刊され、沖縄戦を概説する部分で「かくして米軍の沖縄本島上陸以来約八〇日、善戦敢闘した第三十二軍の組織的戦闘は終了した」と記している。
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