鹿児島県警の元幹部の男が警察情報を漏洩(ろうえい)したとして逮捕されました。その元幹部が「犯罪行為を隠蔽(いんぺい)をした」として名指ししたのは県警トップの本部長でした。真相はどこにあるのでしょうか。
■“本部長が隠蔽”逮捕の元幹部が主張
渦中にある人物が6日に姿を見せました。鹿児島県警・野川明輝本部長(53)。この県警トップを巡り、鹿児島は大荒れです。
事の発端は、先月。鹿児島県警・元幹部の男が逮捕されたことから始まります。
元鹿児島県警・本田尚志容疑者(60)。警察情報をあるメディアに漏らしたとして、国家公務員法違反の疑いで逮捕・送検されました。
鹿児島県警 野川明輝本部長
「県民の皆様に不安とご迷惑をお掛けしていることに改めておわび申し上げます」
元警察官の逮捕について謝罪する県警トップの野川本部長。ところがこの後、容疑者がこの本部長を批判したことが明らかになり、話は一転します。
鹿児島県警 元幹部 本田容疑者
「本部長が犯罪行為を隠蔽しようとしたことが許せなかった」
折しも鹿児島県警では、不祥事が相次いでいました。今年4月以降だけでも警察官3人が逮捕されています。いずれも、鹿児島県警・現職の警察官です。
当時、幹部であった本田容疑者。現職の警察官による盗撮事件の捜査に着手しようとしたといいますが…。
本田容疑者の意見陳述
「野川本部長は『最後のチャンスをやろう』『泳がせよう』と言って本部長指揮の印鑑を押しませんでした。この時期は警察の不祥事が相次いでいた時期だったため、本部長としては新たな不祥事が出ることを恐れたのだと思います。私は本部長が警察官による不祥事を隠蔽しようとする姿にがくぜんとし、また失望しました」
そして今年3月。定年退職をした本田容疑者…。
本田容疑者の意見陳述
「私は退職後、この不祥事をまとめた文書をとある記者に送ることにしました。不祥事を明らかにしてもらうことで、後に残る後輩にとって良い組織になってもらいたいという気持ちでした」
そして先月、警察情報を外部の第三者に漏らしたとして逮捕されます。県警トップの本部長と逮捕された本田容疑者。県警ではどんな立場だったのでしょうか。
元埼玉県警刑事 佐々木成三氏
「もちろん目的・理念は一緒だが、ノンキャリの人(本田容疑者)は長い間、鹿児島県の治安維持に力を注いでいた。キャリア(野川本部長)は国家公務員なので在任期間は2年、3年くらい。次のステップがある人」
東大法学部卒の野川本部長は、おととし鹿児島県警に赴任しています。逮捕された本田容疑者はその下に8人いる警視正の階級で、生活安全部長を務めました。
佐々木成三氏
「(本田容疑者は)生活安全部長でノンキャリでもかなりトップ。優秀な人だったというのは分かる」
「犯罪行為を隠蔽しようとした」と主張されている鹿児島県警・野川本部長。6日議会に出席しました。
本田容疑者は不祥事をまとめた文書を記者に送ったとしていました。警察庁は本田容疑者がストーカー案件の被害者の実名などを漏らしたとしています。
警察庁 露木康浩長官
「鹿児島県警察の前生活安全部長が同県警の他の部長の氏名、住所、電話番号などを問い合わせ先などと記載したうえで、公表を望んでいないストーカー規制法違反事件の被害女性の実名などを第三者に漏らしたという国家公務員法違反事件であります。いずれにしても被疑者の主張については本件捜査のなかで、必要な確認が行われていくものと考えております」
今後、鹿児島県警に監察を実施する考えも示しています。
露木康浩長官
「今後、警察庁においても鹿児島県警察における捜査調査の結果を踏まえつつ、県警に対して必要な監察を実施していくなど考えております」
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