3日午前6時半過ぎ、石川県能登地方で最大震度5強を観測する地震が発生し、関東など広い範囲に緊急地震速報が発表されました。輪島市では、元日の地震で被害を受けた住宅が倒壊するなど影響が出ています。


■解体待つ住宅も…5棟倒壊

男性が無事だったのは出勤中だったから。間一髪でした。

自宅が倒壊した 中谷博之さん
「ちょっと言葉が出ないです。どうしようかなと。この辺のゴミを片づけるしか、今はないかな。崩壊したら嫌だなと話はしていたんですが、3日の地震があったからトドメを刺された感じ」

飼っていたネコは行方が分かりません。もとは2階建ての住宅でした。それが元日の地震で『全壊』と判定され、公費での解体を申請。解体は秋ごろになると言われていたといいます。

元日を襲った震度7の地震から5カ月余り。ようやく生活を立て直そうとしていたところに、またです。輪島市と珠洲市で震度5強が観測されました。輪島市では5棟が倒壊。罹災証明書で『全壊』と判定されていた4棟と、『半壊』とされた1棟です。

つまり、それだけ手付かずの建物が残されているということ。輪島市は先週29時点で4600棟を超える公費解体の申請を受け付けていますが、緊急解体・自費解体を除いて終わっているのは1棟だけ。石川県全体でみても、解体が完了したのは申請のわずか0.6%です。

こうした状況を受け、環境省と法務省は特例的な措置に踏み切りました。「建物の権利を持つ人全ての同意がなくても、市町村の判断で公費解体をして差し支えない」との事務連絡をしました。


■『公費解体』時間がかかる事情

ただ、これで一気に解体が進むかというと一筋縄ではいきません。公費解体の現場を訪れると、作業に入る前に何やら探している様子…。

鍜元重機 鍜元裕社長
「“べっこうのかんざし”があったら出してほしいと。思い出の品とか出してあげられれば」

大切に箱に入れて保管していたようです。

鍜元重機 鍜元裕社長
「美容院の方やからね、仕事に使っていたのか。『無理なら諦める』と言っていたんですが、お渡しできるなら喜ぶかな」

建物を解体するだけではありません。分別作業にも時間が必要になります。

鍜元重機 鍜元裕社長
「(Q.これも全部分別?)できる範囲で分別する。(Q.これも剥がないといけない?)そうです。あとは瓦とか、水道のパイプ、塩ビのパイプ。(Q.ここに散乱しているものは)分別して積み込む。(Q.解体作業される方としては、どうしたら負担が減る)地元の業者としては(仕事を)もっと下してくれれば。今、下請けも待たせている状態で、進めようはあるんですが、なかなか下りてこない分、歯がゆい部分がある」

なぜ業者に解体の依頼が下りてこないのでしょうか。

輪島市公費解体推進室 友延和義次長
「申請を受け付けてから補償コンサルタントにお願いし、現地を調査したうえで解体の工事費を算定する手続きがある。それが終わって初めて(解体)指示を出せる。現場に入るためには県内のコンサルタントでは足りない」

『補償コンサルタント』とは、工事までの作業を請け負う専門人材です。自治体に提出された書類に不備がないかのチェックや、解体費用の算定、現地での立ち会いも担います。石川県は、県外からもコンサルタントを増員する考えですが、まだ足りていません。

今、輪島市で目詰まりを起こしているのは…。

輪島市公費解体推進室 友延和義次長
「調査を終え、解体工事費を算出する。そこが時間がかかっている。輪島の宿泊場所がないなど問題もあり、手続きが進みにくかった」


■広範囲に緊急地震速報の理由

気象庁は、能登半島地震の一連の地震活動だとして「1週間ほど、同じ程度の地震が起こる可能性が高い」と注意を呼び掛けています。

また、東北から近畿地方の広い範囲で緊急地震速報が発表されたことについては、当初、マグニチュードが7.4と過大に推計されていたとしました。

気象庁地震津波監視課 原田智史課長
「極めて短時間に同じ場所で地震が複数発生したらしい。何らかの原因で緊急地震速報のマグニチュードが大きめに出た」

観測機器の異常や、観測手法のエラーは確認されていないということです。

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▶能登半島地震特集

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