写真はイメージ=ゲッティ

 医療用の血液凝固測定装置を巡り「抱き合わせ販売」をした独占禁止法違反の疑いが強まったとして、公正取引委員会は4日、医療機器メーカー「シスメックス」の本社(神戸市中央区)と各地の支店などを立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。

 関係者によると、同社は血液凝固測定装置を医療機関に販売する際、自社製の試薬の購入を条件にする「抱き合わせ販売」をした疑いなどが持たれている。他社製の試薬を購入する意向を示した医療機関に対しては、同社機器の新規販売や更新販売を断る可能性を示唆していたという。独禁法は、商品・サービスを他の商品・サービスと一緒に購入させる「抱き合わせ販売」を不公正な取引方法の一種として禁じている。

 血液凝固測定装置は試薬と血液を混ぜた検体を入れて、血液の固まりやすさや血栓の溶けやすさなどを調べる医療機器。手術など出血を伴う措置の前の検査や、病気の診断などに使われる。同社は装置を導入した医療機関に自社製の試薬を継続して納入するビジネスモデルを構築していたとみられ、2022年の売り上げは装置自体が約27億円だった一方、試薬類は計119億円に上ったという。

 同社は医療機器メーカーの大手で、特にヘマトロジー(血球分析装置)では世界トップシェアを誇る。同社ホームページによると、24年3月期の売上高は4615億円。【渡辺暢】

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