男性から性別を変更した女性の精子を使って生まれた娘を子どもとして認知できるかが争われた裁判で、最高裁がこれまでの判決を変更する際に必要な弁論を開きました。
訴状などによりますと、男性として生まれた40代の女性は性別適合手術を受け、2018年11月に法的な性別変更が完了しました。
その数カ月前には、凍結保存していた精子を使ってパートナーが長女を出産し、2020年には次女を出産していました。
民法は認知の主体を「父または母」と規定していて、女性は父として娘2人の認知届を提出しましたが、受理されませんでした。
そこで女性は3人の親子関係が認められるための裁判を起こしました。
1審の東京家庭裁判所は判決で、「法律上の親子関係を認めることは現行法制度と整合しない」として請求を退けました。
しかし、2審の東京高裁は「長女の出生時に女性はまだ法律上の男性であって、親子関係の認知を請求できる」として1審判決を破棄し、女性が法的に長女の父親であることを認める判決を言い渡しました。
一方、次女については「生まれた時に女性の法律上の性別が変わっていたことから法律上の父ということはできない」と判断しました。
この判決を不服として次女側が上告したことを受けて、最高裁が当事者から意見を聞く弁論を開きました。
次女側は「法律上の女性であるものの父であることは確か」「同じ方法で生まれた姉妹間で不均衡が生じている」などとして、親子関係を認めるよう主張しました。
判決は来月21日に言い渡される予定です。
弁論はこれまでの判決を変更する際に必要な手続きで、次女との親子関係を認めなかった判決が見直される可能性があります。
血縁上の父親が性別変更後に子をもうけた場合に、法的な親子関係が認められるかについて最高裁が判断を示すのは初めてです。
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