旧優生保護法のもと、不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めていた一連の裁判について、最高裁大法廷で当事者双方から意見を聞く弁論が開かれました。

【旧優生保護法訴訟“除斥期間”適用が争点】

 旧優生保護法を巡っては、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に損害賠償を求める裁判を全国で起こしています。

 一連の裁判では、旧優生保護法が違憲かどうかのほか、手術から20年が経つと賠償が請求できなくなる「除斥期間」を適用するかどうかが主な争点になっていて、各裁判所で判断が分かれています。

 こうしたなか、札幌・仙台・東京・大阪の高裁で判決が出され、最高裁に上告されていた5件について、15人の裁判官全員が参加する大法廷で審理されることになっていました。

【「戦後最大の人権侵害」最高裁弁論で原告側が訴え】

 最高裁は29日、当事者双方から意見を聞く弁論を開き、原告側は「戦後最大の人権侵害の加害者である国について、単なる時の経過による免責がまかり通ってよいはずがないことは明らかだ」などと主張しました。

 また、原告の1人である北三郎さん(仮名)は、「子どもを産む・産まないは、人から勝手に決められることではありません。同じ悲劇を絶対に繰り返してはいけません。判決が、自分のことを自分で決められる社会につながることを、心から願っています」と訴えました。

【「損害賠償請求権は除斥期間により消滅」国側は反論】

 一方、国側は「損害賠償請求権は除斥期間の経過により消滅しているから、請求は棄却されるべき」と反論しました。

 最高裁の判決は夏ごろに言い渡される見通しで、統一判断が示されるとみられます。

【障害配慮で最高裁が初の大規模措置】

 この裁判では、最高裁を訪れる障害がある人への配慮として、法廷内に手話通訳のほか、資料などを映すための大型モニター6台が配置されました。

 また、傍聴する人のために車いす用のスペースを拡充したり、盲導犬の同伴を認めたり、職員が筆談ボードなどを利用して個別の声掛けも行わました。

 最高裁がこれほど大規模な特別措置を取るのは初めてです。

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