能登半島地震で被災した人たちを元気づけようと、石川県珠洲市の若者らが巨大なモザイクアートを制作した。使ったのは、能登半島北部で撮られた風景や家族との思い出などの写真1974枚。15日に同市立飯田小の児童らが手伝って完成させた。今月下旬から能登空港(同県輪島市)に展示される予定で、主催者は「美しい風景や人のつながりなど、能登のいいところが再確認できる作品。多くの人に見てほしい」と話した。
企画したのは、珠洲市の若者ら5人で作るグループ「能登半島地震~未来を担うわたしたちへ」。若者が頑張っている姿を見せようと、3月には同市や能登町の園児から30代までの100人が復興への思いを込めて歌った動画も制作した。
第2弾となる今回は「形として残るものを」と、縦約4・5メートル、横約6メートルの巨大なモザイクアートを企画。能登北部の在住・出身者らに、能登で撮った思い出の写真の提供を呼びかけ、3月中旬から制作を始めた。
集まった写真は、海や空、千枚田などの風景のほか、キリコ祭りや満開の桜、笑顔の家族や友人など、地震前の奥能登の豊かな自然や人々の営みが感じられるものばかりだ。15日は、飯田小の4~6年の児童25人と教員らが下地の布に接着剤を塗った後、ラミネート加工された写真約330枚を1枚ずつ丁寧に貼って完成させた。少し離れて見ると、能登半島の形と「負けとられんじゃ‼」の文字が浮かび上がり、児童らから歓声が上がった。
手伝った6年の藤野結大(ゆいと)さん(11)は、自宅隣の祖父母の家が全壊、自身も避難所生活や金沢市への2次避難を経験した。珠洲市内の自宅は今も断水が続き、不便な生活を強いられているが、「祭りとか笑顔の人の写真があって、やっぱり珠洲っていいなと思った。地震があっても負けないで強い気持ちで頑張りたい」と話した。
作品は同小体育館に飾った後、今月下旬から能登空港に展示される予定という。グループ代表の真脇魁(かい)さん(26)は「被災者だけでなく、支援に来てくれたボランティアや観光客の方たちにも見てもらいたい」と話している。【阿部弘賢】
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