冬眠明けのクマによる被害が相次いでいます。サタデーステーションは、ヒグマの出没エリアが市街地にまで及んでいる北海道根室市に向かいました。

根室市街地から近い観光スポットでもある明治公園では『クマ出没注意』の看板が急遽設置されていました。公園に隣接する場所でもヒグマの足跡が発見され、市や警察が警戒を呼び掛けているのです。

■市街地にもクマ出没

“凶暴なヒグマ”が相次いで目撃されている根室市。クマの目撃数は去年の“3倍以上”にのぼっています。

今月12日には、こちらを向いて“仁王立ち”するクマ。15日には、学校からおよそ400mの場所でも親子とみられる2頭のクマが出没。私たちが新たに入手したのは、その翌日の映像。線路沿いをクマ2頭がゆっくり歩いていきます。

先月からの目撃情報を整理するとある傾向が見えてきます。これまで出没していたのは山あいのエリアでしたが、ここ数日、市街地で相次いで目撃されていることです。

根室市街地にあるコンビニ前の道路沿いをクマが走っていく姿も目撃されています。私たちが話を聞いたのは、そのとき写真を撮影した男性。街中でクマが出たのは“初めて”だと話します。

コンビニ前でクマ目撃 小川芳宏さん
「この辺で、ちょうどクマがその草のとこ(にいた)。大きいよ、相当大きいよ。単独っぽい感じ。びっくり。こんな所でクマ出ると思わないもん。街中に出たなんて聞いたことない」

■出没クマに共通点はあるのか?

男性が市街地で目撃したクマは1頭で、大きさから大人のクマではないかといいます。一方、山あいのエリアで撮影された2つの動画に映るクマについては、同じ個体で“子連れの母グマ”だとみられています。

出没しているクマに“共通点”はあるのか。すべて同じ個体なのか。

映像から検証すべく、私たちは、土地の所有者などの協力のもと、センサーカメラを3か所に設置し、翌朝に回収することにしました。

このエリアは市の職員も警戒を強化しています。目撃情報がある場所を順番に車でまわり、それぞれのポイントで爆竹やホイッスルを鳴らして人間の存在を知らせます。2時間ほど見回りに同行しましたがクマには遭遇せず。

そして一夜明け、設置したカメラを確認してみましたが、映っていたのはシカのみ。どのカメラにもクマは現れませんでしたが、カメラを設置した場所の数百メートル先では、25日もクマの目撃が報告されています。

■繁殖期クマの危険性

根室市は、山あいで出没しているクマと、市街地で出没しているクマは“別の個体”とみています。いずれにせよ、専門家が指摘するのは「繁殖期特有の危険性」です。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「この季節はクマにとっては繁殖期。オスの成獣はメスを探して広い範囲を動き回るような時期。一方子供を連れたメスにとっては子グマを守るために接近してくるものに対し非常に攻撃的に威嚇をする」

4月以降、クマに襲われてけがをした人は全国で少なくとも11人にのぼっています。(25日時点)

繁殖期が危険というのには、クマの“習性”が関わっているといいます。

繁殖期のオスグマに取り付けた目線カメラの映像をみてみると、前を走るメスをオスが追いかけていることがわかります。その後、映っていたのはオスがメスの子どもを食べる様子。繁殖期のオスグマには“子殺し”の習性があるのです。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「クマは基本的に一夫多妻か乱婚制。一頭でも多くのメスと交尾するのがオスの大事な目的。自分と交尾しないメスが子供を連れている場合は自分の子供ではありませんので、その子供を襲って殺してしまう。母グマにとっては大きな損失ですので攻撃的に威嚇をするのです」

この時期のクマについて、猟友会のハンターは…

北海道猟友会厚岸支部 根布谷昌男さん
「子供を持っているヒグマってのは怖いよね。母性本能が強いからそういう時は確実に襲ってくるよね。体中毛を逆立てて吠えたりするもんだからすごい大きく感じるんですよ。ただ今まで何十頭かクマ獲ったんですけども、50〜60キロ超えたクマだと人間は絶対勝てないからね。怖いよ、やっぱり」

(5月25日OA「サタデーステーション」)

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