「やればできる!共生きソング」の練習で集まったバンドの佐藤悠人さん(前列左)、中島悠花さん(同右)、小川和豊教諭(後列中央)と、曲を作った清水友美さん(前列中央)=茅ケ崎市で2023年12月、清水友美さん提供

 「やればできる!共生(ともい)きソング」。神奈川県藤沢市在住のピアニストで作曲家の清水友美さんがそんなタイトルのオリジナル曲を作った。県立茅ケ崎支援学校の卒業生や在校生らで作るバンド「ともいきかかり ゆうとりんズ with HARUKA」からの要請で2023年末に完成。綾瀬市で25、26日に開催される共生をテーマにしたイベントで、初めて本格的な音楽ホールで披露する。

 清水さんは約10年前から障害者施設でコンサートをしたり、普通学校の特別支援学級で音楽の出前授業を行ったりしてきた。

 バンドは、県立茅ケ崎支援学校の卒業生で、ギターとボーカルの佐藤悠人さん(19)▽高等部2年でボーカルの中島悠花さん(16)▽ギターの小川和豊教諭(60)ら教員2人――の4人で構成。「共生推進」をテーマに地元のイベントなどでライブを行っている。

 「効果的に共生社会について知ってもらうには歌があったら良いのではないか」。ライブを重ねてそう考えたバンドのメンバーらが、障害者に理解のある清水さんに曲の作成を依頼した。

 快諾した清水さんは「歌詞はみんなで作る方がよい」と、歌詞に入れたい言葉をそれぞれのライブで募集。「私は私らしく、あなたはあなたらしく一緒に楽しく生きていこう」「100人いたら100人の『ふつう』」――などの言葉や短文が寄せられた。

オリジナル曲の歌詞の募集に寄せられた言葉や文章=藤沢市で2024年5月4日、遠藤和行撮影

 集まった言葉に自らの思いも織り込んで作詞した清水さん。曲は、メロディーが分かりやすい▽ギターのコードが弾きやすい▽観客が掛け声を掛けやすい▽踊りやすい――などに配慮した。「一緒」や「生きる」を意味する手話を取り入れた振り付けも考えたという。

 相模原市では2016年、県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者が多数殺傷される事件が起きている。事件を二度と起こさない社会の実現。県は「ともに生きる社会かながわ憲章」を作成しそう決意を表明している。曲には憲章の趣旨も込めた。

 完成した「共生きソング」に、佐藤さんと中島さんは「歌詞がいい」「大切なことを伝えている」と喜び、小川教諭は「湘南発で共に生きる社会の推進を発信したい」と話す。歌詞やコードはネットで公開し、非営利の活動にはカラオケ音源を提供する予定だ。

 清水さんやバンドは25、26日に綾瀬市の市オーエンス文化会館で、「共生共創」をテーマに開かれるイベントで「共生きソング」を披露する。25日は午後1時45分から大ホールでバンドと清水さんが共演。26日は午後1時半から小ホールで、清水さんが代表の市民団体「湘南SHOW点」が歌う。【遠藤和行】

<やればできる!共生きソングの歌詞(1番)>

人間だったら あたりまえだよ

一人一人は 違うんだ

なのにどうして 認めないのかな?

自由な世界 目指そうよ

デコボコ ごちゃまぜ 僕らのパワー

ドキドキ ワクワク みんなでつかもうよ

共に生きよう 今を生きよう

明日(あした)も生きよう みんなで生きよう

魔法の言葉 歌うんだ

「やればできる!」ともいきソング

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