国立公園になる冬の日高山脈=環境省提供

 環境省の中央環境審議会自然環境部会は22日、北海道の日高山脈や周辺地域からなる日高山脈襟裳国定公園のエリアを2倍以上に広げ、国立公園にする答申案を了承した。名称は十勝を加えた「日高山脈襟裳十勝国立公園」とする。近く環境相に答申し、今夏に格上げされる見通し。国立公園では35番目で、国内最大となる。

 新たなエリアは、えりも町や帯広市など日高山脈をはさんで西側の日高地域と東側の十勝地域の13市町村にまたがる陸域約24万5700ヘクタール、海域6500ヘクタール。国内最大の大雪山国立公園(北海道)の22万7000ヘクタールを上回る。

「日高山脈襟裳十勝国立公園」に指定される地域

 日高山脈は南北約140キロあり、大陸プレート同士の衝突でできた非火山性の山脈。特異な地質や環境に対応した希少種の生育地で、原生的な自然や生態系が評価された。

 名称を巡っては、地元自治体の首長らが十勝を入れることを要望。一方、道内の自然保護団体が「日高山脈には十勝が内包されており、観光目的だ」などと反対していた。2月の自然環境部会の会合で異例の多数決をとり、十勝を含む名称に決まった。環境省によると、名称の決め方に厳格なルールはないという。

 この日の部会に出席した十勝地域の森田匡彦・中札内村長は「豊かで穏やかな暮らしの象徴である日高山脈に魅せられ、移住してくる人も多い。住民に宝として認識してもらい、まちづくりの追い風にしたい」と語った。【山口智】

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