披露された万博ボランティアのユニホーム=大阪市北区で2024年4月22日午前11時8分、梅田麻衣子撮影

 「うれしい誤算だった」――。2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)の関係者はそう声をそろえる。先月30日に締め切られた万博ボランティアについてだ。定員2万人の倍以上となる5万5222人(速報値)が集まった。開幕1年前を迎え、機運醸成が課題とされていたなか、細やかな配慮が功を奏したようだ。

 ボランティアは協会と大阪府・市が1月26日、共同で募集を開始した。「本当に2万人も集まるのだろうか」。ある協会幹部の本音はそんなところだった。

 というのも、万博を巡っては逆風が吹き荒れていた。会場建設費が最大2350億円と当初想定の1・9倍となり、運営費も1・4倍増の1160億円に膨らんだ。海外パビリオンの建設遅れも明らかで課題が山積する。

 府・市が21年度から実施する万博に関するアンケートでは「行きたい」「どちらかといえば行きたい」と回答した人は、23年度は全国で33・8%(前年比7・4ポイント減)、府内36・9%(同9・5ポイント減)と低迷。機運醸成に苦戦していた。

 ボランティア募集は開始から折り返しの1カ月半が過ぎた3月15日時点では9651人で1万人に満たなかった。しかし、締め切りが迫った4月に入ると、希望者が急増した。ボランティアのユニホームがお披露目された22日には2万人を突破したと発表。締め切りまでの残り4日間には速報値で定員分を上回る2万1156人もの駆け込み応募があった。

 協会担当者は「活動しやすさが好調の要因だった」と分析する。活動期間は1日3~6時間で半年の会期中の5日以上とし、比較的参加しやすい仕組みとした。説明会も複数回開催し、PRにも力を入れてきた。

 会場などで着用するユニホームにも配慮した。紺色を基調とし、性別を問わず幅広い年代で着こなしやすいシンプルなデザインを採用。デザイナーのコシノジュンコさんが監修した。

 一方で悩ましさもある。協会副会長を兼ねる大阪府の吉村洋文知事は募集締め切り後、「これだけ多くの方が万博を一緒にやろうと手を挙げていただいたので、2万人にこだわらず1人でも多くの方が参加できるように調整したい」と述べた。

 ボランティアにはユニホームのほか、交通費・食費として1日2000円相当が支給される。予算に限りがあるため、定員を超えた応募にどう対応するか。協会などは受け入れ人数の精査や抽選の有無について検討している。【藤河匠】

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