銭湯の浴場壁面に描かれた「富士山のペンキ絵」の塗り替えの様子を公開するイベントが、大阪市東住吉区の「みどり温泉」で開かれた。銭湯絵師の“筆さばき”に計約100人が見入った。
描いたのは全国に2人しかいないという銭湯絵師の中島盛夫さん(79)=東京都練馬区。19歳でこの道に入って60年というベテランだ。
2017年の前回も中島さんが描いた。“キャンバス”は縦約2メートル横約3メートルのステンレス板。中島さんは下書きをしない。足場に登ると、はがれかけたり、浮いたりしたペンキをヘラで削った後、はけやローラーを使い、男湯女湯それぞれ2時間程度で一気に描き上げた。
女湯は河口湖から見た春の富士山を、男湯は駿河湾から見た富士山をイメージしたという。中島さんは「ほっとした。最高の出来」としながら、「(また次回も)描きたいね~。そしたら早く消したいと思う。『前の絵はひどかったんだなあ』と。死ぬまでその繰り返し」と語った。
見学した大阪市阿倍野区の自由業、沼田准さん(37)は「富士山の稜線(りょうせん)が仕上がっていく瞬間が感動的ですごく良かった」と喜んだ。
みどり温泉店主の西村善博さん(51)は「完成に近づくにつれ富士山が浮き上がっていく、その工程を見てもらいたかった。(湯船につかり、富士山の絵を見て)一日の疲れを見て癒やしてもらい明日の活力になれば」と話した。【峰本浩二】
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