首都高速道路で死亡事故が相次ぎ、改めて高速道路上で起きる事故の危険性が浮き彫りになりましたが、命を守るために何ができるのでしょうか。専門家と検証しました。(5月18日OA「サタデーステーション」)

■私たちの取材中にも…相次ぐ事故

18日、私たちは取材中に衝突事故に遭遇しました。

仁科健吾アナウンサー
「午後5時半の首都高7号線の上りです。事故が発生しています。発炎筒も置かれていますね。奥でバスが1台停車しているのが確認できます」

首都高で痛ましい事故が相次いでいます。

「高速道路上に車が横転しています。激しく損傷しています」(14日・首都高湾岸線)

14日、追い越し車線でトラックが乗用車2台と衝突した事故。乗用車を運転していた杤本和也さんが死亡。20代の男女2人が骨折などの重傷を負いました。

青山ななみディレクター
「道は真っ直ぐで見通しがかなりいいですね、追い越し車線を走る車はかなりスピードが出ています」

事故が起きたのは、首都高速湾岸線。横浜から東京方面へ向かう片側3車線のこの場所です。事故が起こる前、20代の男女が乗る白い車が左後輪タイヤのパンクにより停車。後ろを走っていた杤本さんの赤い車が、白い車を救助しようと、その後ろに停車。3人は車外へ出ていました。そこへ走ってきたトラックが避けられず、衝突したとみられています。

池田匠吾容疑者(28)
「車に気づいてハンドルを切ったが間に合わなかった」(警察の調べに対し)

■衝突事故はなぜ発生?交通事故鑑定人と検証

こうした追突事故は、なぜ起きてしまうのでしょうか?

サタデーステーションは「道路上に停車した車」に注目。走行中、停車している車がどう見えるのか専門家と検証してみました。およそ350m先で車が1台、停車しているところに近づいてみます。

仁科健吾アナウンサー
「目の前に車がいるのが確認できるが(車が)動いているかどうか分からないですね」

交通事故鑑定人 中島博史さん
「この距離だと(車が)動いているのかどうか判定するのは難しい…」

検証して分かったことは、停車している車に100mほどの距離まで近づかないと、車が動いているのか判別は難しいということでした。

交通事故鑑定人 中島博史さん
「追い越し車線に車が止まっていることは普通の運転者としては、やはり想定しづらいです。車が近づいてきても、それは単に速度差が少しあるから大きく見えてきているんだと、頭の中で解釈しなおしてしまって、本当にギリギリになって回避できるかどうか、ぶつかる直前になって、止まっていることに気づく可能性があります。もしかしたら(車が)いるかもしれない“かもしれない運転”は非常に重要だと思います」

また、走行中に故障が発生した場合、停車する場所も重要だといいます。

交通事故鑑定人 中島博史さん
「まずは左側の路肩に寄せて(車を)止めることを考えて下さい。どうしても移動できない場合は、その位置に停車するしかないですけれども、自分の車が異常な状態であるということを(周囲に)知らせてください」

自分の車が異常な状態であると周囲に伝えるため必要なのが「発炎筒」です。

交通事故鑑定人 中島博史さん
「(後方から来る車が)発炎筒に気付いて回避できる距離を考えると、やはり30から50mは距離をあけてほしいですね」

停車位置で発炎筒を着火。自分の位置を知らせるため発炎筒を振りながら進行方向とは逆に進みます。発炎筒を停車した車から少しでも離れた位置に置くことで、衝突を回避できる可能性が高まるといいます。

交通事故鑑定人 中島博史さん
「時速100キロで走っているときの車の速度は秒速30m程度です。30mで1秒、60mで2秒ありますので、それ以上離さなくても前方を注意している運転手であれば避けられると思います」

そして、路肩よりもさらに外側まで全員が退避できたら、状況を警察に通報します。

交通事故鑑定人 中島博史さん
「(発炎筒は)5分程度は燃え続けるはずです。その間に通報していれば、『事故車両、停止車両あり』というような通知が周知できるというようなことが考えられるという次第です。重大な事故に発展しがちですので、警察への通報を優先してほしいと思います」

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