日本復帰(1972年5月15日)から52年を迎えた沖縄の現状を訴える「5・15平和行進」が18日、米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市でスタートした。全国から集まった労働組合関係者ら約2500人が軍事拠点の集中に「NO」を掲げ、復帰前の米国統治時代から多くの県民が願い続ける「基地のない平和な島」の実現を呼びかけた。
宜野湾市役所前の広場を出発した参加者は二手に分かれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場を取り囲むように行進。同飛行場の閉鎖・返還や名護市辺野古への県内移設断念、陸上自衛隊ミサイル部隊の配備撤回などを求めるシュプレヒコールを上げながら、約7キロ先のゴール地点を目指した。
徳島県から参加した徳島人権・平和運動センター議長の会社員、岩生大治(いわいだいじ)さん(50)は「防衛力強化などの話を聞くと戦前回帰を考えざるをえない。沖縄に米軍基地が集中する現状は看過できないし、なくなっていくべきだと思う」と話した。
平和行進は復帰後も米軍基地の集中が続く沖縄の状況改善を求め、78年にスタート。労組や平和団体でつくる実行委員会が毎年実施している。18日正午からは宜野湾市のグラウンドで集会を開催し、玉城デニー知事も来賓としてあいさつする予定。
沖縄県外では米軍基地の整理・縮小が進んだが、沖縄県では今なお全国の米軍専用施設面積の7割が集中する。基地の返還が進まない中、政府は多くの県民が反対する普天間飛行場の県内移設計画を進め、名護市辺野古沿岸部を埋め立てる。中国や北朝鮮の軍備増強に対抗する形で、沖縄県の与那国島や宮古島、石垣島に次々と陸自駐屯地を開設してミサイル部隊などを配備。沖縄本島の部隊も増強し、南西諸島の防衛力強化(南西シフト)を急速に進めている。
自衛隊の増強について、県内では「抑止力の維持につながる」として賛成・容認する意見と、集中する軍事拠点が「攻撃目標になる」として反対する意見が対立している。【喜屋武真之介、比嘉洋】
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