11月16日に秋田市で開催される「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)シーズン6」先行上映イベント『秋田文化祭』。このイベントに10数年ぶりに映画監督を務めた、俳優の小栗旬さん(『1/96』監督)が登壇することが決定しました。
◆「ミラーライアーフィルムズ」とは?
MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)とは、俳優の山田孝之さん、阿部進之介さん、映画「デイアンドナイト」「Winny」などをプロデュースした伊藤主税さんが発起人となって2020年に始動した短編映画プロジェクト。
これまでの「シーズン1」から「シーズン5」では 俳優・映画監督・漫画家・ミュージシャンなど、著名クリエイターの作品から一般公募作品まで 42本の短編映画が劇場公開されました。
全国の地域(シーズン5&6は秋田市)と連携し、短編映画の制作支援や上映会、ワークショップと連動することで、「だれでも映画に参加できるプロジェクト」を目指しています。
発起人の一人、伊藤主税プロデューサーは以前から「映画業界の持続可能性」について、危機感を抱いていました。「人材発掘・育成の在り方は 今のままでよいのか…」「 映画館以外でも映画を見られるようにできないか…」「製作資金を集める方法に『別解』は無いのか…」仲間とともに、アイデアを実現させるため全国各地を飛び回りました。
伊藤主税プロデューサー(and pictures)
試行錯誤を繰り返し、「シーズン5」からは「企業版ふるさと納税」の仕組みを活用。ロケ地の地域振興事業として「企業の寄付金」で映画製作費をねん出。地域の魅力を伝え、人々の交流を生み出して地方創生に寄与することを目指しています。
また、映画館の少ない地域でも映画との接点を増やそうと「カラオケボックス」などでも作品を見られるようにしています。
こうした映画づくりのキッカケを広げる取り組みに、多くの企業や著名人が共感。今年3月に秋田市で開催されたイベントには俳優・映画監督の竹中直人さんや、お笑いタレント・小説家の又吉直樹さんらが登壇しました。
誰よりも良い刺激を受けるのは、映像・映画製作を夢見る「地元」の若者たち。ミラーライアーフィルムズの「シーズン6」でも秋田市の学生が、小栗旬監督、浅野忠信監督のもと、実際の現場に入って多くの学びを得たのです。
◆「ここは、田舎なんだから。」
国立社会保障・人口問題研究所によると、秋田県の0歳から14歳の人口の割合は、全国ワーストの9.7%(2020年)で、秋田県の人口は2050年までに およそ56万人まで減り、人口の半数が65歳以上の高齢者になると推計しています。
そんな少子高齢化や人口減少など、後ろ向きなニュースに抗うように、今年3月に開かれた「MIRRORLIAR FILMS シーズン5」のイベントポスターには、秋田の若者の「叫び」が凝縮されていました。
「ここは、田舎なんだから。」
その声は言う。
君には経験が足りないって。
実績もないし、まだ若すぎる。
きっと周りも許さない。
挑戦なんて、できやしない。
夢を見るだけ無駄だって。
鏡を見るたび、そう呟いていた。
でも、今やっとわかったことがある。
秋田という土地は、
私を縛りつけてなんかいない。
この場所は、制約か、武器か。
それは、私が決める。
ーーー引用ここまでーーー
シーズン5(今年3月の上映祭)のテーマは「BOUNDLESS(バウンドレス)」で、この場所ではクリエイションができない、挑戦ができないという「意識の縛り」から解き放ち、この先 秋田に広がる可能性にワクワクして走り出していってほしいという関係者の思いが込められていました。
実際にプロジェクトに参加した若者たちは・・・
・秋田でも映画を作ることができるんだ!と感動した
・プロの現場だからこそ味わえる緊張感と達成感はとても刺激になり良い経験だった。改めて地元の良さや知らなかった魅力を見つけることができた
・来年から地元秋田を離れてしまうが、今後も関わる人たちに秋田の魅力を伝えたいと思える貴重な体験となった
こうしたMIRRORLIAR FILMSの取り組みは、今年6月 アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2024」でも紹介されました。
◆テーマは「NEW HEIGHTS.新たな高みと、その先へ。」
今回の「秋田文化祭」、テーマは「NEW HEIGHTS.新たな高みと、その先へ。」
挑戦を経て、自信を手にし、「新たな高み」に向かって歩を進めてきた秋田の若者たちのエネルギーを中心に、映画を通じて地域の人々やクリエイターが集い、「新たな繋がり」を育む場を目指すといいます。
11月16日のイベントでは秋田市で撮影された「1/96」(小栗旬監督)、「男と鳥」(浅野忠信監督)など全5作品が、12月13日の全国劇場公開に先駆けて先行上映されるほか、山田孝之プロデューサー、小栗旬監督、浅野忠信監督が一堂に会しトークショーなども行われる予定です。
映画づくりを通して、映画関係者と地域の「関係人口」を増やし、新たなクリエイターを発掘・育成する「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」。すでにシーズン7(ロケ地:愛知県東海市)の監督を、タレントの加藤浩次さん、俳優・小説家の加藤シゲアキさんが務めることが決定していて、今後も目が離せません。
◆ミラーライアーフィルムズ・シーズン6(概要)
12月13日(金)より全国の劇場で「2週間限定」公開予定
「1/96」小栗旬監督 出演:藤森慎吾(ロケ地 秋田市)
「男と鳥」浅野忠信監督 出演:田中一平 阿部進之介ほか(ロケ地 秋田市)「サン・アンド・ムーン」岡本多緒監督
「FAAAWWW!!!」鬼木幸治監督
「カフネの祈り」増田彩来監督 の全5作品
『1/96』
俳優として第一線で活躍し続ける小栗旬が映画『シュアリー・サムデイ』(2010)以来約13年ぶりにメガホンを取ったのは、お笑い芸人としてのみならず俳優としても活躍する藤森慎吾を主演に迎えた『1/96』(読み方:キュウジュウロクブンノイチ)。日常へのストレスを抱えたサラリーマンで2児の父・成田が現実逃避をする一夜をモノローグ形式で描く。
『サン・アンド・ムーン』
「TAO」名義で世界のスーパーモデルとして活躍し、2013年に『ウルヴァリン:SAMURAI』でハリウッドデビューを果たし話題を呼んだ岡本多緒が企画、監督、脚本、出演に初挑戦した作品『サン・アンド・ムーン』。葬儀帰りのレストランで異母兄弟が繰り広げる会話劇が観客にじわじわと余韻を残す。
『FAAAWWW!!!』
ロサンゼルスで映画制作を学び、ショートフィルムを中心に制作している鬼木幸治監督作は、誰もいない河原に静かに佇む二人のチンピラと、二人の目の前に立つ、ゴルフクラブを握りしめた異様な男の物語『FAAAWWW!!!』(読み方:ファー)。コミカルなムードとホラーテイストが同居し、さらに寓話的でもある奇想天外な展開が待ち受ける。
『男と鳥』
1990年代から様々な映画、ドラマに出演し、「マイティ・ソー」シリーズでハリウッド進出して以降、ますますボーダレスな活躍が目覚ましい俳優・浅野忠信が『R246 STORY ~224466~』(2008)以来15年ぶりにメガホンを取った『男と鳥』。撮影前に「ファンタジーの時代が来た事を確信しております!」と語った通り、ゾンビ侍に飛べない鳥、神などが登場する摩訶不思議な本作に、田中一平、阿部進之介、大原海輝、板橋駿谷らが出演した。
『カフネの祈り』
2001年生まれの写真家・映像作家・増田彩来監督が手掛けるのは、彼女の実体験に基づいた、ノンフィクションとフィクションの狭間にある、「嘘のない感情」を表現した『カフネの祈り』。伊礼姫奈が主人公を演じ、祖父井浦新との記憶に思いを馳せる。田島令子、板谷由夏、山中崇らも参加し、増田監督自身が「21歳までの自分を全部注ぎこめた」と語る渾身の一作となっている。
11月16日(土)の先行上映祭では、
秋田市地域特別制作作品『ボクと鹿』も特別上映予定
◆上映会場「AL☆VE(あるべ)シアター」(秋田県秋田市)
「あるべ」は彦星(アルタイル)と織姫(ヴェガ)からなる造語で、秋田の新星としてイメージ。また、交流拠点として大勢の人でにぎわってほしい「そこに行けば何かが『あるべ』」と期待できる場であってほしいという願いが「秋田弁」で込められている。
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