夏の定番アイス「サクレ」がサクサクなのはなぜ?売られているどら焼きの95%を作るマシンとは?月刊誌『食品工場長』木下統括デスクと行く工場取材第3弾!今回も木下さんの“コネ”をフルに使い、貴重な製造現場に潜入しました。

「サクレ」の“サクサク”に欠かせない2つの技

かき氷なのに“サクサク食感”が人気の「サクレレモン」。発売から39年、今では年間3500万個を売り上げる夏の定番です。

『月刊食品工場長』木下統括デスク:
「サクサク食感を生み出すために、ものすごい工夫をしている工場なんです」

ということで木下さんに同行し、フタバ食品関西工場(三重県津市)へ。

迎えてくれたのは、木下さんとは“11年ぶりの再会”の金田崇義工場長です。

『フタバ食品』関西工場 金田工場長:
「木下さんも相変わらず、変わってなく」
『月刊食品工場長』木下統括デスク:
「相変わらず、やかましいと?」

まず案内されたのは、氷の部屋。原料になる氷柱がズラリと並んでいます。長さ1mほど、重さ135kgの氷柱1本から、約1300個のサクレが作られます。

氷柱を削るのは、巨大なマシン。

氷菓子にとって氷を削る工程は一番の肝ですが、今回は特別に取材OK!木下さんも初めて見せてもらうという“シークレットマシン”です。

巨大な氷柱がリフトで持ち上げられ、

次々とレーンに。

“企業秘密”の削り刃エリアを通過すると、大きな氷柱がわずか1分ほどで粉々になって出てきました。

THE TIME,マーケティング部 原千晶部員:
「凄いスピードでかなりの量が削られてますよ!」

削りたてを食べさせてもらうと…

『月刊食品工場長』木下統括デスク:
「フワフワとカリカリが混在していて面白い!見ると細かい粒と粗い粒が一緒になっていますよね」
『フタバ食品』関西工場 金田工場長:
「それがサクサクの秘密の部分です」

氷が大きい粒だけだと食感はガリガリに、小さい粒だけだとフワフワになりすぎてしまいます。そこで、あえて氷の粒を不均一にすることで、ガリガリとフワフワの良いトコ取り、サクサク食感になるんです。

一体どのように削っているのか…?
企業秘密なので撮影はNGでしたが、色んな大きさの刃がついたローラーに氷を当てて削るとのこと。

さらに、削った氷の粒とシロップを混ぜるマシンにも“サクサク”の秘密がありました。

棒状の羽根だけでなく、平たい板状の羽根でも混ぜるのがポイント。

板状の羽根で氷全体を持ち上げ、空気が入るように混ぜ込んでいるんです。

空気を含んだサクサクの氷をカップに充填したら、輪切りのレモンを乗せてフタ。
そしてその先に、驚きの光景が!

THE TIME,マーケティング部 原部員:
「ええ〜!サクレがひっくり返っています」

上下逆さにして搬送。ここにも、おいしさの秘密が隠されています。

工場で輪切りにした生のレモンは味付けをせずそのまま乗せるだけ。

逆さにすることで、シロップがレモンに染み込み、甘~く、皮まで食べられるようになるんです。

国内シェア95%!ほぼ全ての「どら焼き」を作るマシン

続いては、国民的和菓子の製造マシン工場へ!

『月刊食品工場長』木下統括デスク:
「日本で売られているどら焼きの95%を作っているマシン」

実は、私たちが目にするほぼ全てのどら焼きは、同じ機械で作られています。開発したのは、食品機械メーカーの『マスダック』。

埼玉県入間市の工場ではクッキーを焼く巨大オーブンから、団子のタレを付ける装置など、様々な食品マシンが作られていますが、その中でも“看板機械”とも言える大ヒット商品が、全長9mの巨大マシン「全自動どら焼機」です。

THE TIME,マーケティング部 原部員:
「あ!出てきました液体が。本当に全部均一ですね」

熱した銅板の上に、次々流し込まれていく生地。きれいな円形になるように粘度や量が細かく調整され充填されます。

そして銅板の温度にもこだわりが!

『マスダック』食品機械事業本部 川瀬輝雄さん:
「お客さまのニーズに合わせた焼き方ができるように、細かくガスバーナーが配置してあります」

生地を焼く銅板エリアにはバーナーが15個も!それぞれで火力設定ができるので焼き加減も、焼き色も自由自在なんです。

ちなみに、トラの縞模様の「トラ焼き」は、銅板の上に紙を敷いて焼けば、紙のしわでトラ柄の焼き色になるんだそうです。

銅板で焼かれながら流れていった生地は、途中で上からも火にかけられます。

こうすることで生地の中の空気を閉じ込め、ふっくらさせるのです。皮の断面を見ると無数の空気の穴。これが美味しさの秘訣なんです。

ひっくり返して両面焼いたら生地が完成。この焼きの技術は、海外企業でも注目され、パンケーキやホットケーキの製造にも使われているといいます。

焼きあがった生地は、上になる方と下になる方に分けられ、下の生地にあんこやバターなどの具を乗せ、上になる生地をかぶせたら完成です。

まるで手で一つ一つ手で合わせたかのように、上と下の生地がぴったりきれいにドッキングされているのも、“看板マシン”自慢のスゴ技。

『月刊食品工場長』木下統括デスク:
「ここ!このストッパー!これで受け止めて位置を決めている」

木下さんがドヤ顔で指さしたのは、マシンの随所に取り付けられている「位置決め装置」。ストッパーで生地を受け止め、ドッキング前にミリ単位で位置が調整されているのです。

案内してくれた川瀬さんから「さすが、その通りです」と褒められ嬉しそうな木下さん。

『月刊食品工場長』木下統括デスク:
「職人さんが1枚1枚焼いている、あの細かな技を機械で再現しようと思ったらこうなるという、それが見れたのが一番すごいと思います」

あのお土産の定番も!

スタジオには、誰しも一度は見たことがある有名なお菓子が用意された。
「白い恋人」「東京ばな奈」「うなぎパイ」「紅いもタルト」。

原部員が、実はこれら有名菓子も、全自動どら焼機を製造する『マスダック』のマシンで作られていると紹介すると、スタジオからは「え~」「これ全部?」と驚きの声。

日向坂46の松田好花さんも、「全部見たことあるし、食べたことある気がする。もうお土産の定番中の定番ですよね」と驚きを隠せない様子で話した。

(THE TIME, 2024年8月27日放送より)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。