週末、日本各地でオーロラが観測されましたが、実は関西でもオーロラの撮影に成功した人がいました。オーロラを初めて観測した天文台もあり、驚きが広がっています。
■「まさかオーロラが見られるなんて」関西でもオーロラ観測
空にうっすらと広がる赤紫色の美しい光。
週末、関西でもオーロラが見られました。
取材班が向かったのは、オーロラが撮影された兵庫県香美町です。
カメラを持って迎えてくれたのは、オーロラを撮影した香美町の職員、高橋昇吾さんです。
なんと、高橋さん、数日前に高価なカメラを買ったばかりだったそう!
【香美町観光商工課 高橋昇吾さん】「ビックリしました。まさか香美町でオーロラが見られるなんて。感動的でした。最初、漁船の明かりなのかなと思ってたんですけど、ちゃんと赤いの写真で撮れたんで。『撮れませんでした』みたいな、投稿をしようと思ってたんですけど、まさか映っちゃったみたいな感じで」
高橋さんは、地域おこし協力隊として町の魅力をアピールする仕事をしています。
撮影したオーロラをSNSにあげたところ、1万5000もの「いいね」がありました。
【香美町観光商工課 高橋昇吾さん】「初めてです。いつもだったら香美町の観光地を上げさせてもらうんですけど、よくても200超えたらいいかなぐらいだったんですけど、何百倍の『いいね』がきて、驚いています」
週末、世界で観測されたオーロラ。
日本でも北海道を中心に、各地で空が赤紫色に染まる美しいオーロラが観測されました。
青森県平内町でも、夜空一面に広がる紫の光。被災地、石川県珠洲市でも長時間にわたって観測されました。
神秘的な夜空を一目見ようと、北海道陸別町の天文台には、多くの人が詰めかけていました。
(Q.オーロラを見たことは?)
【オーロラを見に来た人】「今まで一回もないです。人生で一度は見てみたいなと。カメラ越しでは赤い帯が映ったので、結構満足してます」
【オーロラを見に来た人】「写真で撮ったら、係の人にオーロラだよって言われました。きれいでした。カメラで撮ると、いい感じです」
なぜ今、日本でオーロラが観測されたのでしょうか?
■「太陽フレア」が複数回発生したことで日本でもオーロラが…なんと兵庫県猪名川町でも観測
これはNASAが撮影した、太陽表面の爆発現象、「太陽フレア」です。
この巨大な爆発が複数回発生したことで、普段は北極圏などでしか見られない「オーロラ」が、世界各地そして日本でも観測されたのです。
【宇宙物理学者 同志社大学 柴田一成特別客員教授】「今回のフレアは10年、20年に1回ぐらいの、特に連続発生したのが、すごかった。3日間で8回ぐらい大規模フレアが発生した。はるかに大量のエネルギーがやってきたので、普段は北極圏・南極圏だけでみれているのが、緯度の低いところまでエネルギーが入り込むようになった」
国立極地研究所の片岡さんによると、関西では、兵庫県の香美町のほかに、京都府の京丹後市でも観測されたというのです。
また、関西テレビの取材で、さらに南の兵庫県猪名川町でも観測されたという情報が…。
【猪名川天文台 田渕弘一台長】「このあたりから、北の方角を向いて撮影させていただきました。天文台開台以来、初めて」
【猪名川天文台 田渕弘一台長】「こんな感じです。(Q.真ん中に見えてるのが?)オーロラ。雲が多いので、全体に見えたと思うんですが、雲の隙間から赤いのが見えてた。いつも雲があってもこんな色は出ない。間違いなくオーロラやと」
雲のすきまに薄紫色に広がるのが、猪名川町で撮影されたオーロラです。
【猪名川天文台 田渕弘一台長】「天文台の運営委員のメンバーも『うわー!』と騒いでました。猪名川町で見られたことに、みんな驚いてた」
■オーロラが見えたよろこびの反面、「太陽フレア」が原因で通信商会の可能性が…
めったに見られないオーロラが観測され、全国で喜びの声が広がる中…、それを発生させた太陽の爆発現象、「太陽フレア」は、私たちの生活に影響を及ぼす可能性があるといいます。
【宇宙物理学者 同志社大学 柴田一成特別客員教授】「通信障害が非常に多い。太陽のフレアの影響で電離層が激しく乱れると、普段やってくる電波の方向が変わったり、届かなくなってくる」
柴田教授によると、過去には人工衛星の不具合や、航空機の通信障害などが起きた例もあり、今後、通信やGPSなどに注意が必要だということです。
■今後再び大阪で「オーロラ」は見られるのか?「2025年がピーク」
今回はオーロラが日本各地で観測されましたが、今後大阪でも見られるのでしょうか。そしてオーロラの色の違いの秘密を気象予報士の片平敦さんに聞きます。
まずは、オーロラの色の違いの秘密から教えていただきます。
イギリスのノッティンガムで観測されたオーロラは緑や紫なんですが、北海道で観測されたオーロラはほぼ赤です。なぜ場所によって、見えるオーロラの色の違いが生まれるのでしょうか?
【片平敦気象予報士】「イギリスと北海道で何が違うかというと、イギリスの方が北極に近い。なぜ北極に近いと緑のオーロラが見られるかというと、オーロラが発生するのは、そもそも北極とか南極の近く。(オーロラの)上の方、空高いところは赤色に光り下の方は緑とか紫で、皆さんがイメージするカーテンの色です。北極に近いイギリスだと下の方までよく見えて、日本まで離れてしまうと上の方しか見えません。だから日本のように緯度が低いところでは赤色に見えることが多いです。あと、地球の磁場が大きく乱れている時は、赤くなる別のメカニズムのオーロラも出やすいので赤っぽく見えるんです」
今後も日本でオーロラは見られるのでしょうか。
次のピークは来年2025年だそうです。
【片平敦気象予報士】「太陽フレアが一旦落ち着いてきて、地球の磁場もちょっと安定してきているので、一旦おしまいかなと思います。太陽の活動は、実は11年周期で活発になってます。太陽の黒点が多い時は活動が活発になることが分かっていて、グラフで見ると多くなったり少なくなったりしていて、今ちょうど多くなっているタイミング。この後、この周期では2025年がピークになりそうなので、また同じように太陽フレアが連発するようなことがあると、同じように見ることができるかもしれません。日本でも見られる可能性があるというわけです」
何をチェックしていたらいいですか?
【片平敦気象予報士】「情報通信研究機構が、太陽の活動の予測をしている宇宙天気予報をホームページに載せていますし、あと私もそういう時は、天気予報をお伝えしますので、ぜひ参考にしていただければと思います」
今後、大阪でもオーロラは見ることできますか?
【片平敦気象予報士】「緯度的には、あり得ないことはありません。兵庫とか北の方でも、近畿でも見られるかもしれません。星明かりが見えにくい、やっぱり街明かりが明るすぎるので、なかなか目立たないと思いますが、北の空を観察する、それだけでも見てみる価値があるのではないかなと思います」
日本でオーロラが見ることができてうれしいのですが、磁気嵐によるGPSなど通信障害が起きる可能性もあって、宇宙からの災害への備えも必要になるのでしょうか。
【片平敦気象予報士】「宇宙天気予報もオーロラを見るのが目的というよりは、通信障害とかに備えましょうという意味合いが大きいですから、将来テレビの天気予報なんかでも、そういったものをお伝えする時代が来るかもしれないですね」
(関西テレビ「newsランナー」2024年5月13日放送)
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