新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行して約1年。県文化観光スポーツ部によると2023年度の入域観光客数は、4月~24年2月累計で768万7千人、うち国内客(658万8千人)はコロナ禍前の19年度の水準を上回り、外国客(109万9千人)は国際航空路線やクルーズ船の再開に伴い徐々に回復しています。
那覇市おもろまちでも、海外からの観光客の姿を見かけるようになり、私が通勤で利用する路線バスでは、地元の乗客を上回る数の外国人旅行者が乗車していることがあります。
つい先日、外国人旅行者と運転手とのやりとりを少しお手伝いしたところ、国際通りで那覇市内線に乗車し、おもろまちで急行バスに乗り継いで美ら海水族館に行きたいとのこと。
国際通りには、市内線と市外線バスの停留所がそれぞれ設置され、判別が難しい。市外線に乗車するつもりでバスを待ち、目当てのバスが目の前を通り過ぎてはじめて市内線の停留所で待っていたことに気づくこともあります。
地元住民でも難しい国際通りでのバスの乗車に加えて、さらにチャレンジングな乗り継ぎを外国人旅行者が実践しようとしている。外国人旅行者の行動様式の変化を感じました。
他の交通手段も検討したはずですが、バスを選択したのは、地図アプリの活用のほか、乗り継ぎのしやすさ、車内放送などが複数の言語に対応していること、目的地までの停留所の数で距離や所要時間がある程度予測できる安心感があるからだと考えられます。
3月に沖縄公庫調査部が公表した「訪日客の沖縄旅行に関する調査(2023年版)」では、初めて沖縄に来た訪日客でも目的地まで確実にたどり着ける工夫(詳細な経路情報の案内、乗り継ぎのしやすさ、キャッシュレス対応など)の必要性を提言しています。
今回の件は、世界から選ばれる魅力的な観光地の形成に向けて、企業や関係機関が取り組んできた成果の一端に触れる出来事だったように思います。
(沖縄振興開発金融公庫調査部金融経済調査課長)
次回は中曽根直子氏(浮島ガーデン店主)です。
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