宇宙開発の競争が激しくなる中、気球で宇宙を目指す会社が北海道にあります。

 特別な訓練がいらない未体験の旅が、2024年夏ついに実現する見通しとなりました。

 熱帯魚がいるのは…成層圏。

 眼下に地球が見えます。

 この宇宙の入口まで熱帯魚を運んできたのは…気球です。

 未体験の宇宙旅行の準備が最終段階に入りました。

 4月4日、北海道新得町の農道離着陸場である試験が行われようとしていました。

 「高度3000m以上までフライトして、キャビンがしっかりと与圧を保てて、生命維持装置がしっかりと機能していることを確認するのが目的となっています」(岩谷技研パイロット 三木将貴さん)

 気球にぶら下がっているのは乗客用のキャビンで、宇宙空間でも呼吸が可能な密閉できる構造です。

 午前5時過ぎ、空が明るくなってきました。

 パイロットが乗り込み離陸しました。


 気球で宇宙を目指しているのは北海道江別市のスタートアップ企業です。

 「私たち岩谷技研は、気球を使って宇宙旅行を実現しようということを研究開発している企業です。その開発がもうすぐ実現できるところまでやってきました」(岩谷技研 岩谷圭介 社長)

 岩谷圭介さんは北海道大学で宇宙工学を学び、気球による宇宙旅行を実現しようと2023年に「岩谷技研」を立ち上げました。

 気球はどこまで上がるのでしょうか。

 国際宇宙ステーションは高度400km。

 旅客機が飛ぶのは10,000mです。

 岩谷技研が目指すのは上空25,000mの成層圏。

 そこは宇宙の入り口です。

 宇宙旅行は4時間の計画で、上昇に2時間、遊覧に1時間、地上に戻るのが1時間とみています。

 2021年、初めて行った生物実験で熱帯魚を乗せた気球は28,000mまで上昇し無事帰還しました。

 キャビンの開発も進み、パイロットと客が乗れる2人用のものが作られています。


 2022年10月にはパイロットが乗り込み、気球は高度10,000mまで到達しました。

 操縦はパイロットが行い、乗客には特別な訓練の必要がありません。

 2022年2月から乗客5人を募集しましたが、1人2,400万円という費用にも関わらず希望者は募集枠を上回りました。

 4月4日、新得町から打ち上げられた気球の位置をスタッフがGPSで確認しています。

 気球は北東に流されていました。迎えに行きます。

 離陸から1時間後…

 着陸したのは出発地点から約40km離れた上士幌町の公園でした。

 風に左右される気球は、着陸する場所を事前に決められません。

 「よくここに降りれたよね」(岩谷技研 スタッフ)

 「そのぐらいのことがないとお客さん乗せられない」(岩谷技研パイロット 三木将貴さん)

 パイロットの技術で建物がない安全な場所を狙って降りてきていました。

 試験の結果も問題はなかったということです。

 「2024年夏には間違いなくお客さんを乗せられると考えています。今、不景気とかいろいろありますけども、子供たちが我々を見てやる気になれば日本もどんどん良くなると思いますので、そういったきっかけになればいいなと思っています」(岩谷技研パイロット 三木将貴さん)

 気球による宇宙旅行の実現まであと少しです。

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