喫茶店を筆頭に、ファストフードやファミリーレストランなどの飲食チェーンが密かにしのぎを削っているのがモーニングメニューです。
集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
今回は「ベックスコーヒーショップ」のモーニングをご紹介します。JR東日本系列の株式会社JR東日本クロスステーションフーズカンパニーが運営しているカフェチェーンです。東京近郊のJR路線の駅ナカ・駅チカに全72店舗を展開し、うち31店舗が改札内にあります。
ベックスコーヒーショップは、喫茶店の正統派モーニングをお手頃価格で販売
株式会社JR東日本クロスステーションフーズカンパニーは、ベックスコーヒーのほか、そばチェーンいろり庵きらくなども運営(筆者撮影)「ベックスコーヒーショップ」のモーニングメニューの提供時間は、開店から朝11時までです。
メニューは5種類で、すべてにセットドリンク(Sサイズ)が付いています。価格は店舗によって異なります。筆者が利用した店舗は都心部のため、ホームページ記載価格よりも50円高く設定されていました。
(筆者撮影)(筆者撮影)※価格は筆者利用店舗のもの、かっこ内はホームページ記載価格
・バタートースト+ミニサラダ+グラノーラヨーグルトセット 税込630円(税込580円〜)・バタートースト+小倉クリームチーズホイップセット 税込530円(税込480円〜)
・ソーセージ&ポテトセット 税込530円(税込480円〜)
・ハムたまごセット 税込500円(税込450円〜)
・バタートーストセット 税込440円(税込390円〜)
プレスして作るパニーニや、グラノーラとはちみつ入りのヨーグルトなど調理に一手間かかるモーニングメニューをお手頃な価格で提供しています。
バタートースト+ミニサラダ+グラノーラヨーグルトセット630円
ベックスコーヒーのモーニング、バタートースト+ミニサラダ+グラノーラヨーグルトセット630円(筆者撮影)今回筆者がオーダーしたのは、最も豪華なモーニングセット「バタートースト+ミニサラダ+グラノーラヨーグルトセット」税込630円です。
セット内容はメニュー名の通りで、トーストとミニサラダにグラノーラヨーグルト。セットドリンクはホットコーヒーのSサイズをチョイスしました。セットドリンクは他にも以下の9種類から選べます。
・ブレンドコーヒー・深煎りコーヒー
・アメリカンコーヒー
・アイスコーヒー
・エスプレッソ
・紅茶
・レモンティー
・ジャスミンティー
・アイスティー
普通のトーストとサラダながら、ちゃんとおいしい
バターを塗った、厚切りの山食パンが1枚(筆者撮影)トーストは厚切り(5枚切り程度の厚み)の山食パン。食べやすいように縦半分にカットする、心遣いが嬉しい。トーストはさっくり軽い食感で、焼き目はこんがり香ばしく、バターもたっぷり染み込んで、食べ応え十分でした。
最近のカフェチェーンモーニングでは、食パンのサイズが小さめだったり、ハーフサイズだったりすることも多いのですが、ちゃんとまるごと1枚出てきます。
高級食パンとかじゃない、普通の山食パンをちょうどいい具合に焼いて、ケチらずバターを塗っただけ。基本に忠実に調理した、お手本みたいなトーストは、それはそれは期待を裏切らないおいしさなのです。
よくあるミニサラダ。でも、丁寧に盛り付けられて、美しい仕上がりです(筆者撮影)そしてミニサラダ。ガラスのココットにたっぷりとフリルレタスを敷き、上にポテトサラダとカットトマトが行儀良く並んでいます。フリルレタスの緑と、トマトの赤の鮮やかなコントラストは、食欲をそそる彩りです。
なんてことない普通のミニサラダですが、レタスはみずみずしく、厚切りのカットトマトと、ディッシャーでスクープしたポテトサラダは行儀良く、丁寧に盛り付けられています。クリーミーなシーザードレッシングがかかっていてまろやかな味わいでした。
はちみつが入ったヨーグルトが朝から食べられる贅沢
ベックスコーヒーのグラノーラヨーグルトは、120円で単品オーダーも可能です(筆者撮影)驚いたのがグラノーラヨーグルトです。ミニサイズのヨーグルトなのですが、プレーンヨーグルトにたっぷりのはちみつをかけ、グラノーラとドライフルーツをトッピングした、やたらと調理に手間暇がかかる、面倒くさそうな代物です。
スプーンですくってのせれば終わるジャムと違い、粘り気があってキレが悪く、取り扱いが面倒くさいはちみつを、時間勝負のセルフサービス型のカフェチェーンで、レギュラーメニューとして扱おうと思ったのがすごい。
「はちみつっておいしいけど、砂糖やジャムと比べて高いし、気をつけて使っても容器がベトベトになるしなぁ……」と、家で購入するのをためらう私にとっては、ありがたい限りです。
はちみつ・グラノーラ・ドライフルーツは、ヨーグルトと相性抜群です(筆者撮影)爽やかな酸味のプレーンヨーグルトに、華やかで濃厚なはちみつの甘み、サクサクのグラノーラに、しっとりと噛めば噛むほど旨みが広がるドライフルーツが三位一体もとい、四味一体となり口の中においしさが広がります。
「グラノーラヨーグルト」は、他のモーニングセットを注文した際も、プラスワンメニューとして税込120円で追加注文ができます。
「タリーズ」もモーニングセットにハニーヨーグルトをプラスできるのですが、ヨーグルトとはちみつだけ、グラノーラもドライフルーツもなしで税込200円(筆者が利用している都内の店舗での価格)するので、比較してお得感を噛み締めながら食べました。
安いけどおいしい丁寧に淹れたコーヒー
ベックスコーヒーのブレンドコーヒーSサイズ。店内で豆を挽いています(筆者撮影)何より一番嬉しいのが、コーヒーがおいしいこと。ブレンドコーヒーは、ほどよい苦味と酸味でバランスがよく飲みやすい。Sサイズということですが、マグカップにたっぷり入っていて、喫茶店のコーヒーカップよりも容量がありそうです。
ホットコーヒーだけでも、ブレンド・深煎りコーヒー・アメリカンコーヒー・エスプレッソと4種類の選択肢があり、コーヒー豆を店内で挽き、淹れたてのコーヒーを提供しています。アイスコーヒーは水出しと、随所にこだわりを感じます。
駅構内、ホームの片隅にある小さな店舗(筆者撮影)トーストやミニサラダについて触れた際にも書きましたが、「ベックスコーヒーショップ」は、奇をてらうようなことはせず、ちゃんとおいしい裏切らない味を、東京駅・品川駅・上野駅など抜群の立地で提供しています。
単品価格はSサイズは税込340円(ホームページには税込290円〜と記載)と、「スターバックス」や「タリーズ」のような、セルフサービスのカフェチェーンと比べると、お手頃な価格設定です。
ホームから特別列車を眺めながら食べる幸せな朝ごはん
今回、筆者が利用した店舗は、平均1日15万人近くが利用する、東北へ向かう始発駅でもあるターミナル駅のホームの片隅にあります。小さな店内に詰め込むように30席ほどの客席が並び、奥には喫煙ブースも用意されています。
超高級寝台車TRAIN SUITE 四季島(しきしま)。細部まで凝りまくったデザインが際立っていました(ホームの反対側から撮影)(筆者撮影)平日朝10時すぎの店内は、JRの利用客と思しきサラリーマンやインバウンドの旅行者など、年齢も性別もバラバラな10人ほどが利用していました。カウンター席のガラス越しには、日本に1台しかない超高級寝台車「TRAIN SUITE 四季島(しきしま)」を望みます。
ちなみに、ホームにいる人たちはしきりに四季島を撮影していましたが、店内では誰も窓の外に興味がないようで、スマホを眺めたり、おしゃべりを楽しんだりと、目の前で停車する四季島に気づいていないようです。
店内からの鉄道撮影は禁止のためSNS投稿は無理ですが、鉄道好きなら絶景の借景を楽しめます(筆者撮影)1泊100万円と言われる、贅を尽くした電車を借景に食べるモーニングは、JR東日本が運営しているカフェならではの面白みに溢れています。店内からの鉄道の撮影は禁止されているため写真を撮ることはできませんが、鉄道ファンには穴場かもしれないなと感じた朝でした。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。画像をクリックすると本連載の過去記事にジャンプします鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。