今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。11月9日、四国地区で発生した大規模停電の謎に迫ります。担当は堀さんです。
(堀靖英記者)
「まずは今回の停電を振り返ります。発生したのは11月9日土曜日の午後8時過ぎでした」
11月9日午後8時22分。四国の広範囲で停電が発生しました。
(高知県内の声)
「急に真っ暗になってビックリした。コンビニも。信号が暗くなった」
「テレビを見ていたらプツンと切れた。(ビックリした?)ビックリした」
高知県南国市の高知龍馬空港では、突然10秒ほど電気が消えたという事です。幸い航空機の離着陸に影響はありませんでした。
高知県四万十市では、信号が消えたため、車がゆっくりと走行。歩道の人たちが不安げに歩く姿が見られました。停電は、発生から約1時間半後の午後9時49分に解消しましたが、四国4県の最大36万5300戸で発生しました。
香川県は6万2500戸。丸亀市、善通寺市、東かがわ市など、西讃、東讃の5市2町で停電しました。
(四国電力送配電の会見)
「多くの皆さまに大変ご迷惑をおかけしました。心より深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
停電から3日後、記者会見で謝罪した四国電力送配電は原因について、関西電力送配電と作業の認識にズレがあったと人為的ミスだった事を明らかにしました。
なぜ四国の停電に関西が関係するのか?実は電気の安定供給に欠かせない、大規模なネットワークが関係していました。
(堀靖英記者)
「本州と四国の間は、瀬戸大橋に2つ、紀伊水道に2つ、あわせて4つの回線で結ばれています。どちらかで電気が余った時、あるいは足りない時に、この回線を通って電気が送られます。今回の大規模停電は、このバランスが崩れ、一時的に四国から本州へ向かう電気が急増してしまった。そのため、四国内の電気が不足してしまったために起きました。
瀬戸大橋が運ぶのは、人とモノだけではありません。車が走る道路と、電車が走る線路の間に通っているのが…電力ケーブル。「本四連系線」と呼ばれます。2つの回線があり、送電容量はあわせて実に240万キロワット。四国地域にある全ての火力発電所の発電能力の3分の1に相当します。本州と四国を結ぶ回線は、徳島県と和歌山県を結ぶ海底ケーブルも2回線あり、あわせて4回線です。この回線を使って四国から本州に電気を送るのは、どんなケースか聞きました」
(四国電力送配電系統運用部 綾田真総括グループリーダー)
「太陽光などの再生可能エネルギーは、春秋の電力消費が少ない時、多く発電すると余るので、四国から本州系統に送り出す」
四国は太陽光発電の導入が比較的進んでいて、余った電気を本州に送ることがあるそうです。また、その逆もあります。
(四国電力送配電系統運用部 綾田真総括グループリーダー)
「四国エリア内の大きな発電所が止まった場合、供給力が不足するので本州から四国に電気を送る」
香川県綾川町。車を走らせると見えてくる巨大な施設が、讃岐変電所です。ここは、香川と岡山を行き来する電気が必ず通る場所です。
(四国電力送配電送変電部 辻賀仁変電グループリーダー)
「四国エリアで発電した大量の電気が50万ボルトの電圧で送電されてきます」
変電所では、家庭や工場で使えるよう低い電圧に変えますが、岡山には、50万ボルトの高い電圧のまま送ります。
(四国電力送配電送変電部 辻賀仁変電グループリーダー)
「この機器から目の前の鉄塔に引き込まれて、東岡山変電所に送電される」
高圧の電気は、瀬戸大橋を通り、実に約127キロの長い道のりを経て、岡山県の中部まで引き込まれます。
「赤磐市の山深くにあるこちらの施設が、四国とつながるライフラインの重要な拠点です。電力の安定的な供給のために本州と四国でバランスが取られているんです」
しかし大規模停電の時は、この本四連系線がトラブルで稼働しておらず、それが原因に繋がりました。
(堀靖英記者)
「大規模停電の時の状況です。元々作業のために、瀬戸大橋側と紀伊水道側、それぞれ1回線ずつストップしていました。さらにこの日の昼に事故があり、瀬戸大橋側のもう1回線もストップ。つまり徳島と和歌山を結ぶ紀伊水道側の1回線のみでつながるという不安定な状態でした。そんな中で、四国と関西の2つの会社の作業の認識のズレ、具体的には本来止めるべきものを止めていなかったということで、電力のバランスが崩れ、停電が起きました。電気を効率的に運用する上で今やネットワークは欠かせないものになっていて、今回の大規模停電は、奇しくもその重要性を再認識させる出来事になったと言えます」
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