避難計画に不備があるとして、宮城県石巻市の住民などが女川原発2号機の再稼動差し止めを求めた裁判で判決です。二審の仙台高等裁判所は11月27日、「運転再開による具体的な危険の立証があったとはいえない」として、原告の控訴を棄却しました。

原告団長 原伸雄さん
「裁判所の判断が示されることを承知していながら、再稼働を強行した被告・東北電力に対して、断固として抗議したいと思います」

この裁判は石巻市の住民など16人が「重大事故が起きた際の県と石巻市が策定した広域避難計画は実効性が無い」などとして、東北電力に女川原発2号機の再稼働差し止めを求めたものです。

一審の仙台地裁は去年5月、「原告側は事故の危険について具体的な立証をしていない」などと避難計画の実効性について踏み込まずに訴えを棄却し、原告側は仙台高裁に控訴していました。

東北電力は控訴審判決を前に10月、女川原発2号機を13年7カ月ぶりに再稼働していました。こうした中で迎えた27日の控訴審判決。

記者リポート
「原告団の弁護士が出てきました。控訴棄却です。避難計画の不備を争点にした原告の訴えはまたしても届きませんでした」

仙台高裁の倉澤守春裁判長から「棄却」が言い渡されると、傍聴席には怒号が飛び交いました。倉澤裁判長は「避難計画に実効性がない」という原告の主張に対し、「計画は発生した事態に応じて臨機応変に決定し、段階的に避難することを想定していて、避難計画の判断に看過しがたい過誤や欠落があるとはいえない」と指摘。

その上で「運転差し止めを命じることができるような具体的な危険の立証があったというわけではない」として原告の控訴を棄却しました。

原告団は一審判決とは異なり避難計画に踏み込んだ点は評価できるとした上で、会見で次のように述べました。

原告団 小野寺信一弁護士
「避難場所の開設困難、バス輸送確保ができないことについては、我々はいろいろな証拠で嫌というほど主張・立証し、東北電力もこれについてはほとんど反論していない。ところが高裁は避難場所については臨機応変に決定すればといいと、臨機応変にどうやって決定するんだと」

原告団は最高裁に上告するかどうか、11月30日に開かれる脱原発全国連絡協議会で方針を決めるとしています。

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