公職選挙法に抵触しているという指摘が相次いでいる兵庫県の斎藤知事。

先ほど初めて代理人弁護士が会見を開き、請求書などの書類を示して「法令違反はなかった」と強調しました。

■PR会社の社長の発信を「発信された後に知った」

就任後初となる定例会見に臨んだ、兵庫県の斎藤元彦知事。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「県職員の皆さんとの関係がすごく大事ですので、若手や中堅とか、いろんな方との意見交換の場も作っていこうと準備を進めてますので、そういった機会を通じて、腹を割って話せるような信頼関係を構築していくと」

県職員との関係再構築に向けての思いを述べました。

「年末の公務が立て込んでいること」を理由に当面、定例会見は1時間ほどで終了するとし、時間が限られた中でしたが、相次いだ質問は、この話題でした。

Q.PR会社の社長が選挙戦を振り返る発信をネット上でされたが、事前に社長から発信してもいいかと打診はあった?

【兵庫県 斎藤元彦知事】「一つ言えるのは事前に私は一切見てもいませんし、そういった発信をするとも聞いてないし、内容自体も一切確認していない、発信された後に知ったということです」

兵庫県内のPR会社の代表が、知事選挙で斎藤知事の「広報全般を請け負った」とネット上のコラムに公開した問題。

総務省は業者が報酬を受け主体的に選挙活動にかかわることは「公職選挙法に抵触する可能性がある」としていますが、コラムには、知事と打ち合わせする様子や、選挙カーに乗り込み、ライブ配信を行う姿も…。

斎藤知事側は、PR会社にチラシのデザイン代などとしておよそ70万円を支払ったことを認める一方で、「選挙運動の中核にいた認識は全くない、あくまでボランティア」だと回答していました。

Q.ボランティアで協力していただいていたということだが、写真を見ると会社の事務所で業務として請け負っているように見えるが、明確に違う?

【兵庫県 斎藤元彦知事】「お願いしたのは、ポスター制作を含めた70万円の対価支払いに伴う業務だけ。それ以外は個人でボランティアとして対応していただいたと」

Q.言葉を選ばずいえば、迷惑やいろんな影響を受けているかと思うが、現在PR会社側に対して、どんな気持ちでいるのか?

【兵庫県 斎藤元彦知事】「われわれとしては、選挙戦は適法にやってきたという認識。当会社の方がSNSで文書を作られたことは事前には聞いていなかったので、そういう意味でも若干の戸惑いはありますね」

Q.今回の件は買収ではなく、ポスター等の代金としての正当な支払いという認識?

【兵庫県 斎藤元彦知事】「繰り返しになりますが、公職選挙法と法令に抵触するような行為はしていないというのが私の認識。事実関係、法令への対応はのちほど、代理人の弁護士に」

「事実関係の説明は代理人の弁護士に任せている」と繰り返しました。

■代理人弁護士の会見「SNS戦略などの依頼は事実ではない」

同じく27日、代理人弁護士が会見を開きました。

【奥見 司弁護士】「(PR会社の)社長がnoteに記載されているようなSNS戦略を依頼した、広報全般を任せたということは事実ではありません」

PR会社の代表は、SNS戦略含め、広報全般を任せられていたと自身のコラムで明かしていましたが、斎藤知事の代理人弁護士はこれを最初に否定しました。

【奥見 司弁護士】「個別に依頼をしましたので、契約書という書面は作成しておりません。注文は10月3日から9日ごろにかけて個別で依頼しています。個別というのは『チラシデザインの制作をお願いします』『分かりました』、そういうような関係です。PR会社側からの請求は発行日が10月31日のものであり、一通のみです。内容確認後、支払いをしたのが11月4日です」

その上で、PR会社の代表による選挙での活動は、ボランティアだったと説明しました。

【奥見 司弁護士】「(PR会社の)社長ご夫妻は、斎藤氏がPR会社を訪れた日以降、斎藤氏の考えに賛同してくださり、斎藤氏の応援活動をしてくださっています。社長の活動としてこれまでに確認できているのは、公式応援アカウントの取得、公式応援アカウントへの記載事項のチェック、街頭演説会場などにおける動画の撮影、アップロードなどです。これらは社長、社長の夫、斎藤氏の同級生、そのほか選挙スタッフといえるメンバーと話し合って行われております。

これらはいずれも、PR会社としての活動ではなく、選挙のボランティアの一員としてなされたものです。かつ社長が主体的・裁量的に行ったものでもありません。無論、社長個人とは何の契約もありませんので、報酬支払いの事実も、その約束もありません」

PR会社の従業員は、演説会場にいたことは確認しているものの、選挙運動にはかかわっていないということです。

活動はあくまでも会社ではなく、個人で行ったものとして、いずれの行為も公職選挙法には抵触しない考えを説明しました。

Q.PR会社のコラム、これは嘘、あるいは盛っている?

【奥見 司弁護士】「事実である部分と全く事実でない部分が記載されております。特に広報全般を任せたとか、そういう部分については全く事実ではないと考えている。なので、盛っているか、盛っていないかについては、盛っておられると認識しています」

Q.PR会社にいろいろ書かれたことによって、迷惑を被ったと思うが、今後この会社を訴えることはあるのか?

【奥見 司弁護士】「先週末この問題確認しまして場合によっては、今後の展開によれば名誉棄損等の問題はあるのかもしれませんけども、現時点では斎藤知事の行為が法に抵触していないことを説明することに徹すると考えており、その先のことは考えておりません」

■斎藤知事の代理人弁護士の会見まとめ

斎藤知事の選挙PRについて、斎藤知事の代理人の奥見弁護士は、このように話しています。

・PR会社の代表は個人的にボランティアで応援活動をしてくれて報酬はなし
(応援活動というのは、アカウント取得、動画撮影など)

・PR会社と県に請け負い契約はなく、寄付行為にはあたらない

・代表のコラムの内容は“盛っている”と捉えている

斎藤知事は「SNSは事務所が主体的にやっていて、公職選挙法には違反しない」と発言しています。

・最初の見積り書に動画撮影の項目はあったが、斉藤知事サイドが依頼したのは、請求書の5項目のみ

PR会社への支払い
▲メインビジュアル企画・制作 10万円
▲チラシのデザイン制作 15万円
▲ポスター・デザイン制作 5万円
▲公約スライド制作 30万円
▲選挙公報デザイン制作 5万円
プラス消費税で、合計71万5000円

項目の個別の依頼をしている契約書はなかったということです。

■「PR会社も詳細な情報を公開する必要があるのではないか」とジャーナリスト岸田氏は指摘

代理人弁護士の会見でしたが、ジャーナリストの岸田さんはこのように指摘します。

【ジャーナリスト 岸田雪子さん】「これまでの発言より一歩踏み込んで、『社長の側の主張が違っていたんだ』『事実とは異なる部分があったんだ』ということを明示したということは、1つポイントかなとは思いました。

ただ一方で、『ボランティアである』、『あくまで個人のものなんだ』と主張するのであれば、例えばその根拠として、PR会社側が従業員が全く関わっていないのかとか、あるいは関わっている従業員もボランティアだったとか、報酬はあったのか、あるいは休暇を取っていたのかとか、根拠になるものをPR会社側も提供することが必要だろうと思います。PR会社側からより詳細な公開、聴取などをする必要があるだろうと思います」

【吉原功兼キャスター】「個別の依頼をして契約書はなかったという中で、PR会社として主体的に、裁量的に、関わった、関わっていないということを示す根拠みたいなものも必要ということですね」

【ジャーナリスト 岸田雪子さん】「ただ一部の制作に関しては請け負って、支払いもしているということで、どこからが個人なのかっていうことを明示するって、なかなかグレーな部分もあるので、そこは法律の不備の部分というのもあるのかなとは思います。

いずれにしろ、この社長が一時的ではあれ、公表したコメントの内容というのが、実際、知事の会見あるいは、代理人弁護士の会見内容とはギャップがあるのは変わらないので、やはりPR会社社長側が、ご説明になるなり、あるいはその内容を詰める必要があるだろうと思います。

ただ一方で、社長への個人攻撃のようなこと。何か詮索したり憶測で、なんでこれをアップしたんだろうかということになりかねないので、そこは厳に慎む必要があると思います」

【吉原功兼キャスター】「改めてPR会社の代表の“広報全般請け負った”ということに関しての真偽を明らかにしていく必要があるんでしょうね」

【ジャーナリスト 岸田雪子さん】「それは引き続き問われる部分にはなってきてしまうのかなと思います。一方でPR会社側と契約以外にも、さまざまなやりとりがあった可能性はあると思います。メールなのか、何なのか分かりませんけれども。そういったやり取りというものを、調べることがもし行われれば、そのあたりで証拠が出てくる可能性はあるのかな。そこは捜査に任せる必要があるのかなと思います。もし入っているのであれば」

捜査機関の判断に委ねられるということにもなりそうです。

(関西テレビ「newsランナー」2024年11月27日放送)

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