NTTが最新技術展示会で、生成AIを活用したランニング指導技術や、介護現場で支援が期待されるAIロボットを発表した。専門家は、生成AIの普及には低消費電力の技術が不可欠で、日本の技術がその解決に貢献できると指摘している。
NTT「最新AI」がランニングや介護をサポート
NTTが、AI=人工知能が走るフォームをアドバイスする最新技術を公開した。
この記事の画像(11枚)NTTは、東京・武蔵野市のNTT武蔵野研究開発センタで、生成AIや次世代通信を活用した最新技術の展示会を開催した。
こちらのブースでは、カメラに映したランニングフォームを分析し、リアルタイムでゴーグルに理想の走り方のアドバイスを表示する。
「お手本に比べて下を向いています」
山下あす奈記者:
目線が下を向いているというアドバイスがあったので、上を向いて走ってみようと思います。
また、AIを搭載したロボットは、冷蔵庫の扉が開けっぱなしの時は「締め忘れてますよ」と知らせて、代わりに閉じるほか、体調が悪そうな時には声を掛け、助けを求める。
NTTは、介護施設などでの活用を想定し、気が利くロボットの実現を目指す。
消費電力削減・環境対応が生成AI普及の鍵
「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
新しいテクノロジーの開発、どうご覧になりますか。
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
生成AIが身近なものになってきましたよね。私も仕事の資料作成などに活用しています。
AIの応用技術は、これからたくさん出てくると思います。そうなると懸念されるのが、実は消費電力なんです。
堤キャスター:
消費電力に課題があるというのは、具体的にはどういったものですか。
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
AIの計算に使われるGPUという半導体は、スマートフォンやPCに使われているCPUと比べて、ものすごく電力を使います。そのため、AIはデータセンターで処理する必要があり、なかなかポータブルなものにならないんです。
何より、ものすごく電力を使うということは、発電で環境に負荷をかける場合があるということでもあります。環境問題としても、AI向けの低消費電力が急務になっています。
堤キャスター:
消費電力を少なくする取り組みには、どんなものがあるのでしょうか。
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
NTTが掲げるIOWN構想でも、通信の高速化、低遅延化に加えて、消費電力を低く抑えることが大きな目玉になっています。具体的には、データセンターで用いる通信をLANケーブルから光ファイバーに置き換えます。
光を使うということは電気を流さない、つまり電力を消費しないということになります。こうした、オール光ネットワークによる通信網の構築によって、電力を抑えていくことがまず一つです。
日本の光技術で低消費電力化・半導体産業の復活を
堤キャスター:
電力の消費を抑える新しい技術で、日本は活躍できるのでしょうか。
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
NTTは2030年に向けて、電気に変わって光を活用する光電融合半導体をIOWN構想の一貫として取り組んでいます。これは単に高速低遅延だけではなく、データセンターの消費電力を100分の1にすることもできると言われています。
この開発には、半導体の後工程の技術が、ポイントになりますが、これは日本が得意とするものなんです。今、日本の半導体産業が再び活性化していますが、世界をリードする技術開発を期待したいです。
堤キャスター:
生成AIの可能性は、より広がっていくはずです。その進化を持続可能なものにするために、更なる開発が求められますが、日本の技術が世界に貢献することを期待したいです。
(「Live News α」11月21日放送分より)
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