おなじみの「カップヌードル」のパッケージをガラッと変えた商品が9月から限定販売され、売り切れになったお店も多い。一体なぜ、商品の顔と言うべきパッケージを大胆に変えたのか?
スーパーの陳列棚に・・・文字がビッシリのパッケージ
売り切れになった店舗もある中、在庫があると聞き、東京・武蔵野市にある
西友の吉祥寺店に向かいました。
よく見ると、「受験をこれで乗り切った 高校時代の青春の味 大学生活もお世話になりまーす!」(18歳男性)。どうやら、誰かの思い出が書かれています。
街の人からは、「SNSで見ました!」「かわいい!読みたくなる感じ!」「斬新!」といつもとは違ったパッケージデザインに興味を持つ声も。
一体なぜ、「誰かの思い出」をパッケージにデザインして発売したのか?担当者に話を聞きました。
『日清食品』 マーケティング部 ブランドマネージャー 川合陽介さん:
「発売から53年たつロングセラーブランドですので、「カップヌードル」とお客様の間には、たくさんの思い出があるはずだと考えました」
「全国のお客様を対象に、カップヌードルにまつわる懐かしい思い出を調べてみたところ、1500件以上ものエモい出 (エモい思い出) を集まった。それをパッケージで展開しています。特に若い方に身近に感じて頂きたいということから、『エモい』という言葉を使っています。」
一体、何種類のデザインを作っているのか?大きな段ボール箱に入っている商品を並べてみると・・・
THE TIME,マーケティング部 佐々木舞音 部員:
「100種類!? 初めて見た景色!全部パッケージデザインが違う!お店に送る段ボールの中でも、被らないように納品しているんですね。」
『日清食品』 マーケティング部 ブランドマネージャー 川合陽介さん:
「手間もコストもかかっています。」
こうした大胆なパッケージデザインは、ロングセラー商品にとって重要な戦略と、マーケティング戦略に詳しい、雑誌「宣伝会議」の編集長は注目しています。
月刊『宣伝会議』 編集長 谷口 優さん:
「ブランドの鮮度を保つために、新しいことをし続ける、というのはとても大事。ロングセラーブランドが陥りやすい課題として、『お客様と一緒に歳をとってしまう』。」
実際、街の人からは、購入しなくなってしまった声も。
40代女性:
「他のメーカーでも全然美味しいから、カップヌードル買わなくなった」
こうした消費者に、もう一度目を向けてもらえる戦略でもあると、谷口さんは言います。
53年目の新たな発見!「一人で食べる」より「大事な誰かと食べる」人が多い
この“カップヌードルにまつわるエモい出”を1500人から集め、どのようなシーンで食べているかを分析したところ、意外な発見があったと言います。
『日清食品』 マーケティング部 ブランドマネージャー 川合陽介さん:
「即席食品というのは、個人で食べる「個食」が多いと考えていたけど、
実際は大事な誰かと一緒に食べるというエピソードが非常に多くございました」
街の人にも聞いてみた「カップヌードルのエモい出」は?
20代女性:
高校の時、夏休みの部活の合宿で、夜抜け出して、1キロくらいあるコンビニまで行って買いに行く!顧問にバレない様に!
30代女性:
お湯を入れて、深夜食べようとしていて、大阪の友達から電話がかかってきて、
3~4時間しゃべっていたら、その間ずっと放置していたので、あふれる位伸びた!
50代女性:
受験勉強しながら夜中にカップラーメン食べちゃうとさ、「食べるのやめようかな」と思うんだけど、お腹すいちゃうんだよ、食べちゃって!食べてやっぱり眠くなったから、勉強できなかったな!
実は、こうした「エモい出に商品が結びつく」ことも、企業の戦略の一つと谷口さんは言います。
月刊『宣伝会議』 編集長 谷口 優さん:
「”美味しいのが当たり前”だったら、みなさんが店頭に行ったときに、より安いものを買い、価格競争に陥ってしまう。その中で”語り手自身の主観的な物語”が入っているからこそ、いろんな人が共感しやすくなる。ウマさだけでなくエモさによって、ブランドの優位性を高めている。」
(THE TIME,2024年11月1日放送より)
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