秋の行楽シーズンの人気スポットの1つである動物園には入園料が無料や、とてもお安いところが!でも実は動物園のお財布事情は厳しいようで…

 さまざまな動物園が収入アップのため、あの手この手で工夫していました。入園料が安いと喜んでばかりはいられない、動物園のお財布実情に迫ります。

「財政難」収入は必要経費の6割程度…足りない分は税金

 話を聞くためにやってきたのは神戸市立王子動物園です。今年3月、園の人気者だったジャイアントパンダの「タンタン」がこの世を去りました。タンタンはいなくなりましたが、約120種類の動物たちを見ることができ、中でも…
 

 コアラが見られる動物園は全国で7か所だけで、年間約120万人が訪れます。その入園料は、高校生以上(64歳まで)が600円ですが、中学生まで、それに65歳以上は無料です。ただ、そのお財布事情について聞くと…

 (神戸市立王子動物園 加古裕二郎園長)「(Q、動物園の運営はズバリ厳しい?)厳しい面は…あります。毎年、動物園の運営経費としては8億円ほどかかっている。それに対して収入は、入園料を中心として約5億円」

 入園料を中心とした収入は必要経費の6割程度。足りない分は神戸市の税金でまかなっていて、「財政難」の状況です。

飼育コストが高い動物を飼う理由…それは「種の保存」

 動物の命を預かる動物園。エサ代、光熱水費は減らすことができません。中でも一番お金がかかるのはエサ代だといいます。そしてその中でも単価が高いのはコアラ。6頭分の年間のユーカリ代は、なんと約6000万円。1頭当たり年間1000万円の食費がかかる計算です。

 食費の高いコアラを飼育する理由。それはコアラが生息するオーストラリアで絶滅の危機にあるからです。動物園はこうした動物を繁殖させる「種の保存」という重要な役割も担っているんです。

 ほかにもこの動物園ではホッキョクグマなど飼育コストが高い動物がいます。入園料の値上げなどで収入を増やしたいところですが…

 (神戸市立王子動物園 加古裕二郎園長)「正直申し上げると、入園料はもう少し高い方が…とは思う。ただ、どこの公立動物園も大体同じぐらい(の入園料)。それでこそ、来ていただきやすいと思うので」

「エサの寄付」は年間なんと30t以上!

 直面する「財政難」を、寄付で乗り切ろうとする公営動物園も。開園前、京都市動物園にやってきたのは老舗豆腐店。届けたのは大部分が産業廃棄物となってしまう「おから」です。

 (南禅寺豆腐屋/服部食品 西島寛さん)「動物園がエサで困っていると聞いて、うちのおからを役立てられないかと」

 このおから、クマやカバなどが喜んで食べるエサになるそうです。京都市動物園では、年間6千万円ほどかかるエサ代を節約するために、飲食店や企業から、本来は捨てられてしまうはずの野菜の切れ端などを、「エサの寄付」として受けつけています。

 (京都市動物園 和田晴太郎園長)「(年間)30t以上寄付の量はある。エサ代の価格も上がっていると考えれば1000万円以上の費用の効果があると思います」

動物園でも推し活! “推し”動物にエサ代を寄付

 さらに、自分が好きな「推し」の動物にエサ代を寄付できる「エサ代サポーター制度」を導入。10万円以上寄付すると、「推し」の動物の前に企業や個人名のネームプレートが、1年間掲示される特典が!去年はこの「エサ代サポーター」だけで、1400万円近い寄付が集まったといいます。

 (京都市動物園 和田晴太郎園長)「いろんな形で(動物園の支援に)携わってもらえる仕組み作りを行っています」

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