(ブルームバーグ):世界的なインフレショックの最後の兆候が薄れつつあることから、不確定要素の多い新たな年へと各国・地域が向かう中でも、借り入れコスト低下の傾向が勢いを維持しそうだ。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、米連邦準備制度理事会(FRB)が先進国・地域の利下げの仲間入りをした今、消費者物価に関する懸念が次第に後退し世界の成長への懸念が強まる可能性が高い。

先進国の借り入れコストの総合指標は、現在から年末までにほぼ40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、2025年末までにさらにその2倍以上の低下が見込まれている。

FRBが世界的な金融緩和の先頭に立った今、利下げは広範囲に及ぶ可能性が高く、主要7カ国(G7)のほとんどが追随し、ノルウェーやオーストラリアもいずれは利下げに加わると見込まれる。

しかし、11月の米大統領選挙をはじめ、未解決の問題が今後の見通しを曇らせている。来年1月にドナルド・トランプ氏が米大統領に就任した場合にカマラ・ハリス氏の場合と比べてどのような違いが生じるかは予想が難しいが、税制、関税、移民に関するトランプ氏の政策が完全に実施されれば、米経済ひいては金融政策にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。

いずれにしても、最近の「より高くより長く」の休止期間とは対照的に、中央銀行が積極的に行動する期間が続く公算が大きい。

注目される23の中央銀行のうち、借り入れコストを今後3カ月間据え置くと予想されているのはわずか3行であり、そのすべてが25年末までに何らかの形で金利を調整すると予測されている。

主流は金融緩和だが、日本とブラジルは引き締めが予想される。

BEのグローバルチーフエコノミスト、トム・オーリック氏は「FRBの0.5ポイント利上げと中国人民銀行の景気刺激策のサプライズにより、中央銀行に関するテーマはインフレ抑制のための利上げから市場を支える利下げへとシフトした。日銀が逆の方向に向かっていること、そしてそれが円キャリー取引にどのような影響を与えるかが、大きな別の流れだ。もう一つの流れは、米国の選挙から生じる可能性がある。もしトランプ氏が当選して同氏の選挙公約である減税、関税、移民の強制送還が実施されれば、それが経済の道筋を変化させ、FRBに再び軌道修正を迫ることになるだろう」と分析した。

原題:Fed Drives Global Push to Cut Rates Despite Questions Over 2025(抜粋)

--取材協力:Beril Akman、Tracy Withers、Scott Johnson、Irina Anghel、Anthony Halpin、Ott Ummelas、Anup Roy、藤岡徹、Swati Pandey、Andrew Langley、Manuela Tobias、Aline Oyamada、Bastian Benrath-Wright、Matthew Boesler、Claire Jiao、Maya Averbuch、Amara Omeokwe、Erik Hertzberg、Maria Eloisa Capurro、Matthew Malinowski、Monique Vanek、Nduka Orjinmo、Ntando Thukwana、Agnieszka Barteczko、Peter Laca、Niclas Rolander.

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