(ブルームバーグ):8月の米個人消費支出(PCE)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア価格指数が前月比ベースで市場予想を下回る伸びにとどまった。消費支出の伸びもわずかで、景気の減速感が示唆された。

PCEコア価格指数は前月比ベースで3カ月ぶりの低い伸びとなった。3カ月間の年率では2.1%上昇と、米金融当局のインフレ目標に沿った水準となった。

 

個人消費支出は前月比0.2%増(市場予想0.3%増)。インフレ調整後の実質PCEは同0.1%増(予想に一致)した。貯蓄率は4.8%と、前月より低くなった。

ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「8月のインフレ率が小幅な上昇にとどまったことは、なお景気抑制的な金融政策スタンスを米当局が引き続き緩和する上での強い根拠になる」とリポートで指摘。「実質PCEは0.1%増と伸びが鈍かった。消費者が倹約志向を強め、支出のモメンタムが減速していることを浮き彫りにする」と述べた。

8月のPCE価格指数は、景気の冷え込みが広範囲に及んでいることを示唆している。住宅とエネルギーを除くサービス価格は前月比0.2%上昇と、2カ月連続で同じ伸び率。食品とエネルギーを除く財の価格は0.2%低下と、3カ月ぶりの大きさで下げた。

消費に関するデータも、景気が徐々に減速しつつあることを示す。サービス支出は0.2%増。3カ月間の伸びとしては2023年8-10月以来の小幅だった。財への支出はほぼ横ばいとなった。

個人所得は0.2%増(市場予想0.4%増)。賃金・給与は5月以来の大幅増となった。

ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏らは「8月の個人所得と個人消費支出、物価データが市場予想を下回ったことは、今月の会合で政策金利を0.5ポイント引き下げた連邦公開市場委員会(FOMC)の判断を正当化する」と指摘。「基調的なインフレ圧力が緩和する中、金融当局は2つの責務のうち雇用最大化の方により重点を置くようになるとわれわれは考える」と述べた。

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:Fed’s Favored Inflation Gauge, Consumer Spending Barely Rise (1)(抜粋)

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--取材協力:Dominic Carey.

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