(ブルームバーグ):日米とインド、オーストラリアの協力枠組み「クアッド」の首脳会議の中でバイデン米大統領が、中国が米国とインド太平洋地域の同盟国を「試している」と発言したことが、マイクに捉えられた音声から分かった。音声は誤って公表された。

バイデン氏に加えインドのモディ首相、岸田文雄首相、オーストラリアのアルバニージー首相は、米デラウェア州で開かれた会議の冒頭であいさつを交わした際にライバル国に言及することはなかったが、記者が退室した後の最初の議題は中国についてだった。

バイデン氏は21日の冒頭発言で「習近平・中国国家主席は国内の経済問題に焦点を当て、中国国内の混乱を最小限に抑えようとしているとわれわれは考えている。私の見解では、習主席は中国の利益を積極的に追求するために外交的な余裕を確保しようとしていると」と語った。演説の一部の音声が誤って公表された。

「中国は、経済や技術の問題を含めたいくつかの分野で、この地域全体でわれわれを試すような攻撃的な行動を続けている」とバイデン氏は付け加え、「激しい競争には激しい外交が必要だと考えている」と語った。

ホワイトハウスの国家安全保障会議は、この音声に関するコメント要請にすぐには応じなかった。

米国は中国の影響力に対抗する一連の動きを展開している。電気自動車などの特定の産業に対する新たな関税の決定、電子商取引による出荷やメキシコ経由で米国に流入する鉄鋼・アルミニウムへの取り締まりなどが含まれる。

首脳および政府高官らは、サミットの焦点が中国にあるという考えを打ち消した。「中国はクアッドの焦点ではない。クアッドは特定の国を対象としたものではなく、われわれが目指すより大きなビジョンに関するものだ」と、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は21日の記者会見で述べた。

共同声明では、地域におけるがんとの闘いにおける協力と人命救助を目指す複数の共同イニシアティブが発表された。

海洋安全保障に関しては、各国が「自国の海域の監視と安全確保、法の執行、不法行為の抑止」を支援するツールを提供する訓練イニシアティブが発表された。声明によると、米沿岸警備隊、海上保安庁、オーストラリア国境警備隊、インド沿岸警備隊は、「相互運用性を向上させ、海上安全を促進する」ためのオブザーバープログラムを来年から開始する予定。

また、別のイニシアティブでは地域における「持続可能で弾力性のある港湾インフラ開発」の支援を目指している。米政府高官は、非公開の会合のため匿名を条件に、北朝鮮の脅威を含む幅広い問題について議論がなされたと述べた。

クアッドは、気候変動やクリーンエネルギー問題について、より深い協力関係を築くことを誓い、太陽エネルギープロジェクトへの支援やサプライチェーンの多様化のための資金提供などを約束した。農業の活性化のために人工知能やロボット工学を活用するための共同研究への資金提供も行う。

原題:China ‘Testing Us All,’ Biden Says at Indo-Pacific Summit (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。