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 物価高騰のなかでも売り上げ度外視のデカ盛りを続ける弁当店。町の人々に愛される名物弁当には店主の温かい真心が詰まっていました。

■母から継いだ味 1.3キロのデカ盛り弁当

東京・上板橋「まごころ大高」 この記事の写真

 東京・上板橋駅近くにあるお弁当屋さん「まごころ大高」。

一番人気「日替わり幕の内弁当」(750円)

 注文が入ってから作るスタイルで、いつでもできたてが味わえます。一番人気は毎日9種類のおかずが変わる「日替わり幕の内弁当」(750円)。バラエティ豊かなおかずが並んでいました。

別名「肉まみれ」の「いっさいがっさい」(1200円)

 さらに、リピーターが多いメニューが別名「肉まみれ」と呼ばれる弁当の「いっさいがっさい」(1200円)。

コメは800g以上

 容器にコメをまんべんなく敷き詰め、なんと重さは800グラム以上。

はかりの針が振り切れる

 コメの上には、牛ハラミ、焼き肉、唐揚げ、鶏の照り焼きがこれでもかと盛り付けられています。総重量は、1キロまで計測できるはかりの針が振り切れるほど。

店長 大高博信さん(55)
「(Q.重量はどのくらい?)(およそ)1.3キロです」 店長 大高博信さん

 考案したのは博信さん。母のミツ子さん(80)から店を受け継いだ2代目です。

博信さん
「(Q.大盛は昔から?)今ほどではなかったけど、量は多かったですよ」

 昭和50年頃にミツ子さんがオープンした「まごころ弁当」。当時からこだわっていたのができたてです。

母・ミツ子さん ミツ子さん
「注文が来たものは、ほとんど断らない。朝の3時からでも起きてやっていた」

 働く母の背中を見て育った博信さんも自然と料理の道へ。調理の専門学校を卒業後、ホテルのフレンチレストラン、日本橋の割烹(かっぽう)で修業を積みました。

調理専門学校卒業後、修業を積んだ 博信さん
「(Q.よくいろいろな料理がつくれますね)プロですから」

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■事故で一念発起 母の背見て料理の道へ

■事故で一念発起 母の背見て料理の道へ

 およそ2万食の弁当を作る店の調理長を務めた後、18年前に家業を継ぎ、母の代から続くメニューを守り続けてきました。そんな博信さんに、人生観が変わるほどの転機が訪れたのは8年前のこと。

8年前に… 博信さん
「バイクで配達してたんですけどね、接触事故を起こしちゃって。骨盤の粉砕骨折」

 事故で半年も車椅子が必要なほどの大けがをしました。現在も骨盤に人工プレートを入れた状態で生活しています。

 しかし、その怪我がきっかけで仕事との向き合い方に変化が生まれたといいます。

仕事との向き合い方に変化が 博信さん
「けがする前は無敵状態というか、何でもできると思っちゃって。徹夜して遊びに行ったり、飲みに行ったり、趣味とかもやってたんですけど、これからの目標とか、どこに向かっていくのかとか、仕事が生きがいになるのかどうかってところも含めて発見できた」

 「人生、何が起きるか分からないから今を大切に生きる」。そんな思いから、これまで以上に真剣に仕事に向き合うようになったという博信さん。

博信さん
「これやったらウケるかな、お客さん笑うかなとか。ドキドキするような、ワクワクするような、アトラクションみたいな弁当を作りたいなって」 自分なりの形を模索

 そして、自分なりの形を模索していくうちにたどり着いたのが、メガ盛り弁当を始めとした60種類にも及ぶメニューです。

博信さん
「原価率はかなり、5割超えてますよ。だから経営者としてはもう全然ダメです」
「(盛り付けが)足りないかもね」 ミツ子さん
「足す?」 思いの詰まったメガ盛り弁当 博信さん
「もうちょっと足そう」

 そんな思いの詰まったメガ盛り弁当は、一日に50食出る日もあるほどの看板商品に。

メガ盛りを注文した客
「(Q.この量はどう?)幸せですよ。やっぱり頑張れます」 博信さん
「ありがとうございます」

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■物価高騰でも…デカ盛り

■物価高騰でも…デカ盛り

コメを60キロ以上使う日も

 そんなコメを60キロ以上使う日もあるという人気店が、最近頭を悩ませているのがコメや原材料費の価格高騰です。

博信さん
「仕入れ値が2倍です。これ結構、おコメ使う店は死活問題です。もともと食材も高くなって油も高くなったので、おコメだけは何とかやってたんですけど、そのコメが高くなっちゃったから」 値上げも検討

 年内はなんとか今の価格で続ける予定ですが、来年以降は値上げも検討せざるを得ないと話します。

博信さん
「人件費も上がるし、水道光熱費も上がるし、その中で値段だけは上げないでいこうと思ったらちょっと無理だと思うので」

 コメの価格高騰には見舞われたましたが、幸いコメが手に入らないという事態は避けることができました。

取引先からも大切に 博信さん
「親の世代からコメ屋さんと付き合いが続いてたんで、うちだけにはって言ってちゃんと用意してくれた」 うえのや 川島信行さん(76)
「大事な大得意さんなので」 博信さん
「利益なしでやっていると思います。値上がりした分は」 信行さん
「生活ができれば。もう長い付き合いなのでね」

 客だけでなく、取引先からも大切にされている弁当店。個人店ならではの柔軟さも魅力の1つです。

父 前原有辰さん(37)
「子どもが小さいので、食べられないものとかもあるんですけど、そういったものにも少し配慮いただける」

 テレワークの休憩中に買いに来たという前原さん親子。

有辰さん
「(息子も)外に出るのを渋ってたんですけど、『まごころさんに行こう』って言ったら喜んで出てきた」

 家族全員が店の大ファンです。

母 前原沙弥香さん(36)
「ほんと冷めてもおいしいので、夜に食べてもおいしいんですよ。(献立に)行き詰まった時には、まごころさんを頼りにさせてもらってます」

 喜ぶ客の笑顔を想像し、仕事に精を出す博信さん。今後については?

今後について 博信さん
「燃え尽きるまでやりたい。灰になるまで自分が納得できるまでやり続けたい。足が悪いとかそういうのは理由にならないです。生きがいだから」

(「グッド!モーニング」2024年9月21日放送分より)

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