(ブルームバーグ):スイスの腕時計メーカーは、海外販売の低迷を受け、輸出業者を支援するために自国通貨高を抑えるよう中央銀行と政府に求めた。

「インフレ率が現在2%を大きく下回っているため、スイス国立銀行(中銀)には為替市場で対応し、行動を起こす余地がある」と、スイス時計協会とスイス時計産業雇用者連盟は主張。「臨機応変でより反応的なアプローチを取ることで、フランの変動を減らすことも可能になるだろう」と論じた。

スイスの腕時計メーカーは、高級腕時計の需要低下に苦戦している。過去3年間の出荷額は過去最高を記録したが、2024年1-7月の時計輸出額は2.4%減少した。一部のブランドや部品メーカーは、恒久的な人員削減を避けるために、政府支援による業務縮小に頼っているとブルームバーグ・ニュースが報じた。

この業界には約700社が含まれ、約6万5000人を雇用している。輸出が国内総生産(GDP)の55%を占めるスイス経済の重要な柱となっている。ブランドはロレックスからパテックフィリップ、そしてスウォッチグループやリシュモンなどの高級品複合企業まで多岐にわたる。

フラン高対策を中銀に求めているのは時計産業だけではない。先月前半には、機械・電気・金属産業(MEM産業)のスイスメム工業会が、最近数カ月に見られた海外販売の脆弱(ぜいじゃく)な回復を、急激な通貨高が脅かしていると訴えた。

スイス中銀による2回の利下げにもかかわらず、フランはユーロに対して、2023年終盤に付けた史上最高値に近づきつつある。当局者は繰り返し、通貨高はスイスのインフレ抑制に極めて重要だと述べており、インフレ率はユーロ圏の最高水準の約3分の1でピークに達した。

スイス中銀は26日に次の金利決定を行う予定。

需要の落ち込みに直面し、多くの時計メーカーは時短勤務や夏季休業の延長、人員削減を余儀なくされていると業界団体は訴えている。

原題:Swiss Watchmakers Demand SNB Act on Franc as Exports Drop (1)(抜粋)

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