(ブルームバーグ):ウォール街のリスク志向派は幾度となく、米連邦準備制度の慎重姿勢や債券市場に見られる経済情勢の変化を意に介することなく動いてきた。
今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントという大幅利下げが決まるのではないかという期待感の高まりを受け、運用担当者は自信を強めた。13日終了週の金融市場ではハイテク株や暗号資産(仮想通貨)、ジャンク(投機的格付け)債が再び活気づいた。
特にナスダック100指数の反発が顕著で、9日から5日続伸で、週間上昇率が6%に迫った。6日終了週は6%近い下落率だった。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が断固とした金融政策を打ち出すとの臆測が飛び交う今、トレーダーらは米経済のソフトランディングを前提とした新たな強気な取引に乗り出している。
強気派は、理想的な投資環境さえも想定。FOMCが積極的に動き、大きく政策金利を引き下げると見越し、いまだ拡大が続く経済に活力をもたらすというのだ。
JPモルガン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は「好景気と金利低下が株式にとって最良のシナリオだ」と指摘。「50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げなら朗報で、FOMCが後手に回るつもりはないということが分かる」と述べた。
消費者物価データが予想よりも高い数値を示し、労働市場も比較的健全であることから、この先は慎重な金融政策が適切だとも言える。
しかし、ニューヨーク連銀のダドリー前総裁やJPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ氏らエコノミストはFOMCは後れを取らないよう大幅な利下げを行うべきだと主張している。
フェローリ氏は13日のリポートで、「連邦準備制度が行うべきことは明確だとわれわれは考えている。リスクバランスの変化を踏まえた50bp利下げだ」とコメントした。
ティケオー・キャピタルの資本市場戦略責任者ラファエル・テュイン氏によると、FOMCの政策は紙一重だ。
「景気減速に対処する50bp利下げなら、市場を不安定化させ、年末が近づくにつれてボラティリティーを引き起こす可能性がある」が、「好ましいインフレデータを受け50bpの利下げが行われ、連邦準備制度当局者が安心感を与えるようなコミュニケーションをすれば、リスク資産を押し上げ得る」との考えを同氏は示している。
原題:Wall Street Refuses to Kick Risk Addiction in Big Bet on the Fed(抜粋)
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