EV(電気自動車)事業への将来の参入を発表したシャープ。「LDK+」と名づけられたコンセプトモデル。目指すのは車の走力性能より、“止まっている時間の充実度”のようです。

◆シャープらしさ 車内の随所に

外観はワンボックス・バン型で全長約5mのロングサイズ。後部座席のドアが開くと3人座りシートが後ろ向きに回転して、テーブルが自動でセッティングされます。

そして車の最後方に搭載されるのが『65型液晶ディスプレイ』です。同社によりますと、車が走っていない時間も活用して、車内を「部屋の拡張空間」と捉えようという設計思想だそうです。

フロント以外の窓は『液晶シャッター』がかかってプライバシーを確保。また、オーナーの好みの空調温度と照明を、AIが理解して自宅リビングと似た環境を車内に再現するといいます。さらに、ルーフには『ソーラーパネル』を設置。走行中に発電可能だといいます。

◆なぜ、家電から車に参入?

家電やエネルギーを強みとしてきたシャープのEV参入。唐突にも思えましたが、背景にあるのは親会社グループ。鴻海科技集団(フォックスコン)はすでにEVプラットフォームを開発済みで、台湾の自動車メーカー「ラクスジェン」で実用化されているといいます。

シャープも5月の中期経営方針で、「鴻海のリソースも活用したイノベーション」、AIやEV事業を例にあげて、「モビリティも『人々の生活空間』として捉え、当社らしい価値創出に挑戦する」などとしていました。

◆数年後のEV参入めざす

万が一の災害時は、プライバシーに配慮された車内空間と、搭載された蓄電池を組み合わせて、EVが“部屋”になる可能性もあります。

シャープは、コンセプトモデル「LDK+」を今月17~18日の自社技術展示イベント(東京国際フォーラム)で公開し、実用化の検討を重ねたうえで、「数年後のEV事業参入」を目指すとしています。

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