9月4日、開港30周年を迎えた関西国際空港。空港のキャラクターやスタッフが到着した乗客を出迎えたり、横断幕を掲げ見送りをしたりするなど記念イベントが行われました。

 1994年、日本初の24時間空港として誕生した関西国際空港。伊丹空港の騒音問題などを受けて、大阪湾を埋め立ててつくった人工島の海上空港で、総工費は1兆5000億円という超巨大プロジェクトでした。

 一番機の機内ではメモリアルイベントも企画されお祭りムード一色。乗客だけでなく展望デッキにも多くの見学者が押し寄せ、大変な盛り上がりとなりました。開港時は各地からの航空機が集まり中継機能を担う「ハブ空港」として期待されましたが、アクセスの悪さなどからその後の需要は低迷。特に国内線は10年で半分近くまで便数が減り、ハブ空港とは名ばかりに…。

 (関西空港会社 福島伸一社長(当時))「当社の経営は開港以来の危機とも言える大変厳しい状況に直面しております」

 1兆円を超える巨額の借金を抱え、政府から毎年90億円の補給金を受けてなんとか危機をしのぎました。

 そんな状況を変えたのがLCC(格安航空会社)の出現です。2012年にLCC専用ターミナルを整備。韓国や東南アジアを中心に便数は急激に増え、2013年度には約250億円の営業黒字を達成するまでに。

 2016年に民営化。インバウンド急増を追い風に順調に利用者数、便数をのばしていきます。

 しかし2018年、台風21号の直撃を受け滑走路や航空機の駐機場などほぼ全域が冠水。ターミナルの地下にも大量の水が流れ込み、空港全体が機能を停止し、海上空港の地盤の弱さが浮き彫りに。

 そして、新型コロナの感染拡大。1日200便あまりあった国際線が多い日でも1日10便程度となり旅客数はコロナ前の1%ほどにまで落ち込みます。

 そんな苦難を乗り越え今年7月には1か月間の外国人旅客数が167万人と開港以来、過去最多を記録。国内線、国際線をあわせた利用者数も約265万人とコロナ前の95%にまで回復しました。

 さらに、第1ターミナルでは入国審査場などの増床や商業店舗を増やす大規模改修工事も行われ、来年の大阪・関西万博の開催までに国際線の受け入れ人数をコロナ禍前の2倍近くに増やす狙いです。

 航空産業に詳しい桜美林大学の戸崎肇教授は、「やはり関西圏の経済力って非常に強いです。今は関西空港、非常に絶好調と言ってもいいんではないでしょうか」と話しています。

 誕生から30年、浮き沈みを繰り返した関西空港。関西の空はどうなっていくのでしょうか?

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。