(ブルームバーグ):中国の習近平国家主席がアフリカ各国の首脳を北京に今週迎える際、習氏はアフリカ側への貸し付け規模を縮小し、中国が引き換えに何を求めているのかをより明確に示すとみられる。つまり、リターンの向上とトラブルの減少だ。
アンゴラやジブチを含むアフリカ各国に対し、中国は10年以上にわたり巨大経済圏構想「一帯一路」を通じ1200億ドル(約17兆6000億円)を超える政府支援融資を投じ、アフリカ大陸全域に水力発電所や道路、鉄道を建設してきた。
こうした関係は、中国がエネルギーや鉱物へのアクセスを確保するのに役立つと同時に、国内にたまっていた生産・建設容量のはけ口を提供することにもなった。
しかし、こういったインフラ整備と外交には「債務のわな」や搾取、汚職といった批判がつきまとい、ここ数年、債務苦境の波がアフリカを襲い、3カ国がデフォルト(債務不履行)に陥り、長期にわたる再編が始まったことで、その非難はさらに強まった。
ケニアでの38億ドル規模の鉄道のように、未完成で何もない大地のまま終わるプロジェクトもあり、こうしたアフリカでの事業は一帯一路に絡む空約束を象徴しているかのようだ。
だが、そうした問題にもかかわらず、4日から始まる第9回中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)に出席するため各国首脳が北京に続々と到着しているのは、中国がアフリカ大陸の経済において外国勢として支配的な役割を担っていることを浮き彫りにしている。
今回の会合にはナイジェリアのティヌブ大統領やルワンダのカガメ大統領、南アフリカ共和国のラマポーザ大統領らが参加する予定だ。
FOCACに向け、双方は中国の「ばらまき」型の政策によって築かれた緊密な関係が継続することを期待している。ただ、国内経済低迷への対応に追われる習氏は、対アフリカ支援の軸足をより間接的な官民パートナーシップにシフトさせようとしている。
ノートルダム大学で中国・アフリカ関係を研究しているジョシュア・アイゼンマン教授は「大口融資に沸き立った時代は終わった。次にやって来るのは、以前ほど大規模でも壮大でもないファイナンスだろう。より収益性の高いものになる」との見方を示した。
タンザン鉄道
ボストン大学のグローバル開発政策センターによると、中国の政策銀行を通じたアフリカへの貸し付けは、2000年の9870万ドルから爆発的に増加し、16年には最高額の288億ドルに達した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期には急減したが、昨年は46億ドルまで持ち直した。
この間、中国は商業銀行を通じても貸し付けを行ってきた。そのバランスは今後数年で、利益を生み出す融資に向け大きく傾きそうだ。
中国の新しいアプローチを代表するプロジェクトには、ギニアでの200億ドルの鉄鉱石鉱山・鉄道やウガンダとタンザニアでの50億ドルの石油パイプライン、軍事政権が「国を運営する」ために必要だというニジェールでの4億ドルの石油関連融資などがある。
ザンビア外務省は先週、ヒチレマ大統領が北京を訪れ、タンザニアとザンビアを結ぶ全長1160マイル(約1870キロメートル)の「タンザン鉄道」を活性化させる投資契約に調印すると発表した。
両国の当局者は、10億ドル規模のこの契約がどのような構成かについてほとんど語っていないが、官民パートナーシップに基づくものになると予想されている。タンザン鉄道はもともと、中国が1970年代に資金を提供し建設。中国によるアフリカに対する初の主要支援プロジェクトの一部だった。
アフリカ各国が2000年代に中国を頼ったのは、アフリカ勢が切実に必要としていた大規模なインフラ整備のための資金を得る選択肢がほとんどなかったことが一因だ。世界銀行や国際通貨基金(IMF)などが課してきた環境や人権といった条件なしに融資が受けられることも、対中依存を強める結果となった。
しかし、膨れ上がった債務はすぐに各国の財政に打撃を与え始めた。中国が支援したプロジェクトの多くは期待に応えられず、パンデミックによって状況は一段と悪化。20年にザンビアがデフォルトに陥った危機をきっかけに、対アフリカ融資における中国の役割に新たな監視の目が向かった。
その後、ガーナもデフォルトし、他の十数カ国が高い債務リスクにさらされている。特にアンゴラは現在、対外債務の3分の1超える約170億ドルの借入金を中国に負っている。
原題:Xi Wants Bigger Returns, Fewer Headaches From African Debt Deals(抜粋)
--取材協力:Lucille Liu、Matthew Hill、Katarina Hoije、Michael J Kavanagh、William Clowes、Paul Burkhardt、Antony Sguazzin、Andy Lin (News).
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