(ブルームバーグ):4-6月期の国内産業の設備投資は前期から伸び率が拡大した。来週発表される国内総生産(GDP)改定値への影響については、エコノミストの見方が分かれた。

財務省が2日発表した法人企業統計(速報値)によると、全産業(金融・保険を除く)の設備投資は前年同期比7.4%増だった。13四半期連続でプラスだが、市場予想の10.0%増を下回った。前期は6.8%増。ソフトウエア除くベースでは同9.1%増と、市場予想(8.3%増)を上回った。前期比では1.9%増だった。

法人企業統計は、国内総生産(GDP)の改定値を算出する際に使う材料の一つで、設備投資(ソフトウエア除く)の結果は9日発表の4ー6月期のGDP改定値に反映される。速報値段階の実質GDPは、個人消費や設備投資が上向いたことで2四半期ぶりのプラス成長に転じ、日本経済の復調を示す結果となった。改定値でもその姿が維持できるかが焦点となる。

伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは4-6月期GDPについて「景気は持ち直しの局面であって、回復には至っていなかったという評価は変わらない」と指摘。設備投資や個人消費、全体としても下方修正されるとの見通しを示した。

野村証券も2日付のリポートで、実質GDP2次速報値は前期比年率2.6%と、1次速報値の3.1%から小幅に下方修正されるとした。

一方、SMBC日興証券はリポートで、設備投資や公共投資などの上方修正を見込んでおり、実質GDPが年率3.3%へ小幅に上方修正されると予想。三菱総合研究所も年率3.3%になるとの見方を明らかにした。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は設備投資は若干上方修正されるものの、消費は少し下方修正される見込みだとして、GDPは「あまり変わらないと思う」と語った。

設備投資の増加は、製造業では情報通信機械や電気機械の需要増による生産能力強化が要因。非製造業は新規出店や娯楽施設の新設でサービス業、原子力発電施設の安全対策で電気業が伸びた。

4ー6月期の全産業の経常利益は前年同期比13.2%増と、6期連続で増加した。市場予想は6.2%増が見込まれていた。売上高は前年同期比3.5%増と、13期連続のプラスとなった。

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--取材協力:横山恵利香.

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