沖縄公庫では、経営難などの状態に至った取引先について、出融資担当部署にフィードバックし、審査の着眼点を再確認するスキームを構築しています。新規開業や創業に関連した融資案件における傾向として多いのが「経営者の斯業(しぎょう)経験・ノウハウ不足」、具体的には経営に関する知識や経験が十分にないケースです。
事業を維持発展させていくためには購買・生産・販売の循環が物と資金の両面にわたってスムーズに進むことが必要で、経営者の手腕に負うところが大きい。
しかし実際には、創業後間もなくして、経営者が取引先の開拓や資金繰りの管理に不慣れであることが判明することが少なくありません。
また、融資相談や審査時には計数観念に特段問題がないように見受けられても、開業後、実情に応じて事業計画を見直す際に、計画と実績の差異分析に基づく積算根拠の説明が不得手、営業戦略の再構築が進まないなど、経営者(陣)の経営管理面での経験不足や体制整備の不十分さが露呈することもあります。
経営力向上が事業者の成長発展、ひいては沖縄の持続可能な経済成長の実現につながることから、沖縄公庫では従来から出融資後のフォローアップに取り組んできました。
この取り組みをさらに強化・拡充するため、2023年4月には「事業者支援推進室」を新設し、専門家と公庫職員の連携による課題解決、人手不足や原材料費高騰など事業者の課題解決に役立つセミナーの開催や動画配信、事業承継マッチングサービスの提供などを実施しています。
公庫のホームページでは、事業者の経営力や稼ぐ力の向上に向けた情報の発信や取り組みを紹介しています。皆さまもぜひご覧になり、公庫職員に遠慮なくご相談、お問い合わせください。
4月にコラム執筆を開始して以降、さまざまな場面でお声をかけていただきました。私のコラムは今回が最終回。これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。(沖縄振興開発金融公庫調査部金融経済調査課長)
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