スーパーなどでコメの品薄が続く中、政府はきょう、改めて備蓄米の放出には踏み切らない考えを示しました。なぜなのでしょうか?

「いつも(コメを)探していて、最近買えていない。3食のうち2食は麺でしのいで…」
「学校が始まったら中学校はお弁当なので、このまま無くなると厳しくなる」
「やっぱり高いなと素直に思う」

コメがなかなか見つからない、そして高いという切実な声。

このスーパーでは、普段から取引のある農家から新米を入手。ただ、仕入れ値が上がっているため、例年より4割高い価格で販売しています。

ベニースーパー 赤津友弥 本部長
「20年以上スーパーをやっているが、ここまでお米がなくなるという事象はなかった」

全国的なコメの不足。解決策はないのでしょうか?

今週、吉村知事は政府に備蓄米の放出を求めました。

大阪府 吉村洋文 知事
「需給がひっ迫しているのであれば、(備蓄米を)倉庫に眠らせておく必要はないと思う」

備蓄米は、不作や災害に備えて国が毎年買い取っているコメ。その量はおよそ100万トン。毎年500億円近い国民負担が生じています。

吉村府知事は備蓄米の放出で品薄を解消すべきと主張しています。

しかし、坂本大臣は…

坂本哲志 農林水産大臣
「備蓄米は備蓄米ですので、やはりかなりのことが無い限り様々な流通に影響を与える恐れがあります。慎重に考えなければいけない」

コメの品薄は地震などで一時的に需要が高まっただけで、需給はそこまでひっ迫していないとの立場。大凶作などでもないので、備蓄米の放出に慎重です。

これに吉村知事は…

大阪府 吉村洋文 知事
「一般のご家庭でお米が必要な方がなかなか買いにくくなっている。(米の値段も)非常に高騰もしている。これから学校も始まって、『お弁当も作らなきゃいけないよね』というお子さんもたくさんいる中で、弁当箱にずっとパン入れ続けるんですかという話」

なぜ国は放出しないのか、農水省幹部は。

農水省幹部
「放出すればコメの価格が下がる。農家は喜ばない」

かつて農水省の官僚だった専門家も。

キヤノングローバル戦略研究所 山下一仁 研究主幹
「本来なら不足の時に放出するのが備蓄のあり方なんですけど、そうすると農家が困る名目で、市場からその米を隔離するわけです。『米価を高く維持しよう』そのために使われてきたのがこの備蓄制度」

ただ、すでにコメの価格は去年より26%以上上昇しています。

来店客
「値段も1か月前と比べたら(5キロで)1000円は高くなってるでしょ?今あるのを出して、新米ができたらまた備蓄すればいい」

7月から続いている品薄。

農水省は今週になってコメの卸に流通の円滑化を求めましたが、大臣は対応の遅れを問われ…

坂本哲志 農林水産大臣
「遅きに失したというふうには思っていません」

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