(ブルームバーグ):米共和党の大統領候補、トランプ前大統領の陣営スタッフがアーリントン国立墓地の職員と口論し衝突した件で、陸軍は29日に公式声明を出して職員の対応を擁護。「突然脇に押しやられ」、後に「不当な攻撃」を受けたとの認識を示した。

トランプ氏とその陣営は3年前にアフガニスタン撤退時に自爆テロで死亡した米兵13人の遺族と、26日に同墓地を訪問。トランプ氏は遺族からの招待で墓地を訪れたと主張しているが、悲劇を選挙運動に利用していると批判されている。

アーリントン墓地に献花するトランプ前大統領

陸軍の声明はトランプ氏を名指ししていないが、訪問者には「墓地の敷地内では政治的活動を一切禁じている」法律を周知させていたとしている。

「こうしたルールを順守させようとした職員は、突然脇に押された」と声明は説明。この件を刑事告発する考えは職員になく、問題はこれ以上展開しないとした。

「残念な出来事であり、アーリントン国立墓地の職員および彼女の職業意識が不当に攻撃されたことも遺憾だ」と陸軍は述べた。

トランプ氏は28日、自身のソーシャルネットワークに投稿し、墓地に同行した軍人遺族の声明を共有。声明は自分たちがトランプ氏に写真撮影を許可したとし、「わたしたちの子どもたちをたたえてくれた」ことに感謝の意を表している。

トランプ陣営の広報担当スティーブン・チャン氏は、墓地では身体的な衝突はなかったと声明で主張。「いかなる理由であれ、明らかに心の病を患っている無名の個人が、非常に厳粛な式典の最中にトランプ前大統領のチームを物理的に妨害しようとした」と非難した。

アフガニスタン撤退はトランプ氏の選挙運動で論点の一つとなっている。米兵が複数死亡したのはバイデン大統領とハリス副大統領に責任があるとして、トランプ氏は繰り返し非難。米国の性急な撤退が弱さを露呈し、それがロシアのウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスのイスラエル急襲を引き起こしたとしている。

原題:Army Defends Cemetery Staffer Who Confronted Trump’s Team(抜粋)

--取材協力:Stephanie Lai、Nancy Cook.

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