菓子製造のナンポー(那覇市、安里睦子社長)が、南城市のコストコ沖縄南城倉庫店の開業を機に、全国展開を果たした。豆腐の製造過程で廃棄されることの多いおからを使った健康志向の菓子「+TASUTO(タスト)」の専用商品を国内のコストコ35店舗で販売する。産業界の食品ロス削減や消費者の健康増進、自社の新市場開拓-の「三方良し」のビジネス展開に挑む。

 タストは、おからを活用し、「体に足し算」をコンセプトに開発したビスケット。美容や健康にいい食物繊維やタンパク質などを手軽に摂取でき、県内の食品ロスや事業者の廃棄コストの削減につなげ、島豆腐文化の継承を支援していきたいとの思いがある。昨年8月から県内の薬局やスポーツジムなど、約40店舗で販売している。

 ナンポーの安里社長は昨年10月初旬、コストコの県内出店を踏まえ、運営するコストコホールセールジャパン(千葉県)を訪ね、主力の「べにいもたると」や「ちんすこう」などを売り込んだ。だが、沖縄土産の域を出ず、日常的に手に取るわけではない商品は「見向きもされなかった」(安里社長)。

 バイヤーが興味を示したのは、意外なことに手土産として渡した「タスト」。ここぞとばかりに、おからの栄養素や可能性、商品開発に至った経緯、商品を通して実現したい未来などを説明した。「いける」。手応えを確信した一方で、これまでに経験したことのない挑戦の始まりだった。(デジタル編集部・川野百合子)

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