沖縄県内ホテルのプールでタトゥー(入れ墨)を解禁する動きが少しずつ広がっている。周囲への配慮を理由に国内では禁止する施設がまだ多いものの、多様性理解の一環として許容するホテルも出始めた。アフターコロナでインバウンド(訪日客)が急速に増える中、旅行者の需要に合わせた柔軟な対応をアピールし、新たな魅力創出につなげる狙いがある。(政経部・大川藍)

 ホテルアクアチッタナハ(那覇市)では6月から、午後7時以降はタトゥーのある人もプールを制限なく利用できるようになった。ホテルは泊ふ頭に近いことから、離島への訪問を目的とする欧米客の割合が高く、タトゥーを入れている人も多い。タトゥー解禁後、国内客からの苦情もなく、利用者の評判は上々だという。

 ホテルではこれまで、利用者には上着やシールでタトゥーを隠すよう求めており、従業員が説明やシールの販売に時間を要していた。中には気分を害して帰ってしまう観光客もおり、機会損失につながっていたという。

 リゾーツ琉球アクアチッタナハ運営部の久山志信部長は「海外ではタトゥーはアイデンティティーでありファッションの一つ。タトゥーを一律に禁止するのではなく試行錯誤しながらやっていきたい」と話す。

 海外では文化や信仰上の理由からタトゥーが浸透しており、米国人の3人に1人がタトゥーを入れているという調査結果もある。一方、国内では反社会的勢力をイメージさせるという理由からタトゥーを敬遠する意見も根強い。

 ホテルパームロイヤル那覇(那覇市)の高倉直久総支配人は「当ホテルは外国人の利用が多く、日本人のお客さまもファッションとしてタトゥーをする人が増えてきた」と話し、プールのほか大浴場でもタトゥーを認めている。

 ただ、タトゥーを見慣れていない人にも配慮し、威圧感の強い全身の和彫りなど一部のタトゥーを制限することで双方にバランスをとっている。高倉総支配人は「沖縄のホテルが海外水準に合わせていく中で、タトゥーを認める動きは今後広がる可能性がある」と話した。

 このほか、海外のリゾートホテルでタトゥーを制限する慣習はなく、外資系ホテルのハイアットリージェンシー那覇沖縄(那覇市)もプールでのタトゥーを認めている。

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